南足柄市が合併や新たな自治制度を念頭に置いた小田原市との連携について検討調整を始めた。
10月から11月にかけて開かれた市政懇談会では市民に具体例を示し、今後の検討への参加を呼び掛けた。地方創生で国が推進する「連携中枢都市圏構想」を例にあげ、小田原市と連携の必要性を強調。「従前の連携ではなく新たな広域連携や合併などの検討が必要だ」とし「各市町の財政状況や人口減少からもこのままでは県西全体が衰退する」との見方を示した。
連携中枢都市圏構想は、人口20万人以上の都市が「連携中枢都市」を宣言し、周辺自治体と連携協約を結び諸課題に取り組む新たな制度。地方創生に伴う国の手厚い財政支援を受けた連携が可能。人口約4万3千人の南足柄市は単独では「連携中枢都市」の要件に満たないため、中核市移行を目指す小田原市(約19万4千人)との合併が条件となる。市の幹部は「年内に市民検討会を立ち上げたい」としている。
取材に対し南足柄市の加藤市長は「市民の理解と賛同が必要」とするなど慎重な姿勢を強調した。小田原市では昨年6月の市議会で加藤憲一市長が南足柄市との合併に前向きな姿勢を示している。
2市8町では8年前合併検討
2市8町では2007年から3年間、合併検討が行われた経緯もある。合併で税収が約47億円増え、人件費が12億円減る(当時の条件)などの試算を打ち出したが、箱根町からは「町内には合併が必要なのかという疑問の声が多い」、真鶴町からは「全国の合併した自治体から合併してよかったという声が聞こえない」といった意見が出るなど足並みが揃わず、協議会設立には至らなかった。