12日に包丁研ぎを行う神奈川土建の西相支部・真鶴分会長を務める 石井 浩さん 真鶴町岩在住 53歳
4人の父 岩の働きバチ
○…神奈川土建が各支部で取り組む「包丁研ぎ」を利用した人も多いだろう。この日は、待ってましたとばかりに町民がやってくる。何しろ建築業界に関わるプロの職人集団。研いだ刃をトマトにあてると、スッと通る仕上がりだ。休日返上でもメンバーが集まる理由を訊ねると、即答で「これが当たり前、自然なことですよ」。町民に頼りにされるという事は、こうした積み重ねなのだろう。
○…真鶴の岩生まれ。当時も今も岩の山側は子どもの数が少なく、少年時代は、落ちているミカンをボール代わりに棒で打ったり、木登りしたりと一人遊びが多かった。真鶴中を卒業後は、吉田島農林高(当時)の園芸課へ。青春時代は周りが男子ばかりで、実習で収穫後したコメや果物の試食が何よりも楽しみだったとか。
〇…卒業後は家業を継がず、たまたま人を募集していた設備関連企業に就職。駆け出しの頃に上司から突然仕事を託された。「とにかく顔を出しに行って来い、何を言われても断るな。分からない事はフォローする」と、そのままゴルフに出かけてしまった。この日からこまめに顧客に顔を出すフットワークが身に付き、行った先で「ちょうどよかった」「相談がある」と言われる存在に。
○…5年前に独立し、今は県内各地で貯水槽などの清掃やハウスクリーニングなどを手がける。その後、仲間を増やすため神奈川土建へ。入ってみると一人親方や一人社長が多く業種も多様で、守備範囲を超える仕事に出会っても胸を張って応じられるようになった。
○…仕事場の職人の紹介で妻の京子さんと出会い、気づけば4人の父。5月の連休中は畑の草刈りで終わった。本や音楽といった洒落た趣味はなく「家にあるのは何だろ?ビールの空缶かな」とテンポがいい。一日のスケジュールは濃密で、訪問先も数知れず。仕事用ワゴンに颯爽と乗り込む後ろ姿は、多くを背負っているようには見えない。
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