箱根・湯河原・真鶴版
公開:2016年9月23日
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この夏、箱根湯本の旧街道近くの住宅街(湯本540-4番地)に、古民家を再生したアート空間がオープンした。車の入れない路地の奥にあり、車に乗っていたらまず気づかない場所だ。老舗温泉旅館を思わせる格子つきの窓から暖色の光がもれ、年季の入った柱や神棚などが出迎える。どれもかつて湯本の”当たり前”だった光景だ。
名前は「箱根芸術空間・風伯」。運営する信濃光則さん(30)によると、元は木工職人の曾祖父が建てた家で、築90年以上になるという。20年ほど前に祖母が亡くなってからは空家になっていた。信濃さんは20代後半の頃に大磯の私設美術館などに刺激を受け、空家の再生を決意。その後、傾いた基礎を直すなどして7月にオープンにこぎつけた。今月30日までは「すどう美術館」所蔵のコレクションを展示しているが、古いミシン台や扇風機、水面のように光る窓ガラスなど、昭和の名残も見どころ。「どれも祖母が使っていたものばかり。今の状態で、今後も残したい」。空間はギャラリーだけでなく詩の朗読や音楽などの表現活動の舞台にする構想という。