箱根町の社会福祉協議会にこの冬も有機栽培のジャガイモやカボチャ約700kg分が届いた。送り主は、北海道千歳市の「箱根牧場」。社長の勝俣克廣さん(68)が野菜を故郷に贈り続け、25年ほどになる。
昭和44年ごろまで、勝俣さんは仙石原の箱根セントラル生コン近くで牧場を営んでいた。先祖代々馬を飼い、戦後になって父が始めた牛舎には約70頭の乳牛がいたという。ここで搾った「箱根牛乳」は地元の学校給食にもなっていたため「ずっと子どもたちへの思い入れがあった」と勝俣さんは話す。 仙石原に美術館やホテルが立ち並ぶのはもっと先の話だが、当時の町も今と変わらず観光立町を掲げていた。観光客が行き交う道路に輸送中の牧草が散ってしまうことに勝俣さんは心を痛めていたという。広い敷地と質の良い牧草を求めて移住を決心した時はまだ20代。新天地は帰省しやすいように空港のある北海道千歳市に決めた。今では広大な敷地で約350頭の牛などを飼育し、観光客向けにバター作り体験などを行う。乳製品やソーセージは小田急OX店頭やネットなどで販売しており、敷地内に48年前に故郷から移植したハコネバラなどの苗も、ずいぶん大きく育った。
勝俣さんの郷里にある仙石原小学校(児童104人)では、勝俣さんの野菜をポトフなどの給食献立に活用、子どもたちもほとんど残さず食べるという。学校側も写真つきの手紙を送るなど、交流が続いている。
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