はだのっ子 いま・みらい 教育寄稿第31回 「みんなちがって みんないい」? 内藤 美彦
「みんなちがって、みんないい」という大きなポスターがいやに目立っていました。「金子みすゞ展」に行った時のことです。この言葉が気になって、同伴の友人に、これはおかしいことを言っている。と疑問を投げかけました。すると「これは個性のことを言っているので、別に不審なことはない」と答えたのです。「でも、人と違った言動は奇異で受け入れられないだろう」と反問しました。
「みんな同じより、特性を大事にということだよ」。「みんな違っているのが良いとしたら、自分勝手になり、まとまるものもまとまらないだろう」。
「この言葉は、みすゞの詩『私と小鳥と鈴と』の一節で、私は小鳥のように飛べないが、小鳥は地面を速く走れない、という内容で、自分に出来ないことを羨ましがらず、自分の美点に気づくように元気づけているみすゞの優しさが感じられるでしょう。自分勝手でよい、人と違うのがよい、と主張しているのではない」と説明した友人の意見で話は終わりました。
詩の本意を一節だけ取り上げて解釈するのは誤りであるのは当然です。ところが、全体を見ないで一部分だけで全体を理解しようとしたり、自分の都合の良いように使用することがあります。「みんなちがって、みんないい」は独創性ということも意味しているでしょう。だからといって、人と違うことが何でも素晴らしいと実践されたら世の中は混乱するばかりです。
スマップの歌う「世界に一つだけの花」の詞の最後は「もともと特別なオンリーワン」とあります。深夜徘徊で注意された中学生が「オンリーワン、俺は俺、大事な俺、かまわないで」と大見得を切ったということを聞きました。「オンリーワン」とは「かけがいのない自分」という意味で、好ましい言葉として、よく使われています。
しかし、これは、心に秘めておく自尊感情で自分から口に出す言葉ではないのです。人に対して「君は価値ある存在なのだ」と励ます時に使います。自分のために使うと「俺は」という意識が強く出て、人とのつながりをないがしろにしたことになるでしょう。前述のような使い方は、自分を「ロンリーワン」(独りぼっち)にしてしまいます。
■プロフィール
横浜国立大学卒業。秦野市立小学校教諭。秦野市立本町小学校校長。秦野市教育委員会教育長を歴任。
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田原ふるさと公園野菜直売研究所0463-84-1281/そば処東雲0463-84-1282 https://www.kankou-hadano.org/pointinformation/pointinformationguide/point_tawarafurusatokouen.html |
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