東京大学総合研究博物館特任助教の矢後勝也さん(40・鶴巻出身)が日本蝶類学会の調査隊副隊長として、ブータン東部の高地で”幻の大蝶”「ブータンシボリアゲハ」の姿を確認した。
78年前に英国人探検家に発見され持ち帰られて以来、情報が途絶えていたブータンシボリアゲハ。標本も世界にわずか5匹が大英自然史博物館に保管されているのみで、生態も全く解明されていなかった。これまでヨーロッパを中心に多くの研究者がこのチョウの再発見に挑んできたが、それ以降追加の記録は一切無く誰も成功しなかったことから「世界最後の”幻の大蝶”」とされてきたという。
昨年ブータンで現地の人にそれらしき蝶が目撃されたという情報を得た矢後さんらは、ブータン政府と半年間の交渉の末、ブータンとの共同学術調査を今年8月に決行した。
矢後さんら日本蝶類学会のメンバーは、調査隊「ブータンシボリアゲハ調査隊」(6人)を編成。ブータン政府側のメンバーらとともに今回の調査に臨んだ。空港から車で1週間、2日間登山した先にある標高2300m前後のタシヤンツェ渓谷で1週間かけて調査を行った。そこでブータンシボリアゲハの撮影と採集に成功し、生態の一部も解明に至った。調査隊は5匹を採集し、現地に標本を残した。
矢後さんは、自身の目で蝶を発見した瞬間を振り返って「それはもう感動。ブータンシボリアゲハは、昆虫界全体で伝説化されていた憧れの的です」と声を弾ませた。
この再発見を機にブータンでは、この蝶を国蝶に指定し貴重な野生動植物の保全の象徴とする計画もすでにあるという。
矢後さんは「今回の発見には、独特なヒマラヤ生物相の形成における、重要なヒントが隠されている可能性がある。研究できるサンプルなどが得られれば、今後は形態の研究と遺伝子解析からこの謎を解き明かしていきたい」とブータンでの今後の継続調査に対して意欲を見せた。
「秦野でも蝶を追いかけていた」
秦野で過ごした幼少の頃から昆虫が大好きで、昆虫学者になることを夢見ていた矢後さん。弘法山や吾妻山で昆虫を追いかけたり、自宅で幼虫を飼育したりしていた。「蝶は環境指標。蝶を見ればその場所にどのくらい自然が残っているか分かる」とし、「秦野にはゼフィルスやオオムラサキもいた」と懐かしむ。矢後さんは「家からすぐ近くに美しく豊かな自然があった。それが秦野の良さ」と話した。
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田原ふるさと公園野菜直売研究所0463-84-1281/そば処東雲0463-84-1282 https://www.kankou-hadano.org/pointinformation/pointinformationguide/point_tawarafurusatokouen.html |
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