加藤のぞみさん(曲松在住) 声楽コンクールで最高賞 秋にイタリア留学へ
東京藝術大学大学院音楽研究科オペラ専攻3年の加藤のぞみさん(25・曲松在住)が1月10日、イタリア文化会館アニェッリホール(東京都)で開かれた「第43回イタリア声楽コンコルソ」に出場し、最高の賞にあたるミラノ大賞を受賞した。加藤さんにはイタリアへの留学費用が贈られた。
メゾソプラノの声域を持つ加藤さん。オペラでのメゾは、よりドラマティックで力強い声質が要求される。コンクール当日はその歌声が存分に発揮された。
加藤さんはこの日、曲のイメージに合わせたグリーンと黄色のコントラストが美しいドレスで舞台に立った。昨年末、全国で行われた予選を勝ち抜いた10人が出場する中で最初の登場。本番で緊張してしまうタイプと自己分析するが、同コンクールでは緊張より集中力が勝っていた。審査員や会場を埋め尽くした観客を前に、オペラ2曲を堂々と歌い上げた。「他の出場者の歌を聞かなかったおかげで自分のテンポで歌えた」と笑顔で振り返る。
「今回のコンクールに賭けていた」と話す。昨年末、他の全国コンクールへの出場が決まっていたが、直前になって声が出なくなるというアクシデントに見舞われた。棄権という結果に「本当に悔しかった」と声のトーンを下げる。そして挑んだ今回の大会。結果発表で名前を呼ばれた直後、母親の泣き声が客席から聞こえてきたという。加藤さんは涙をこらえ、大賞の歌声をもう一度披露した。
ピアノ講師の母を持ち、幼い頃から音楽が生活の一部だった。オペラに魅せられたのは中学3年の時。母に連れられ軽い気持ちでオペラを見にいったというが、その圧倒的なスケールに虜になるまで時間はかからなかった。ここから本格的に声楽を学び始めた。
高校生の頃は数多くの大会にエントリーした。3年生で県代表として出場した瀧廉太郎記念音楽祭高校声楽コンクールで優勝し、「世界で活躍するオペラ歌手になりたい」とより声楽に専念するようになった。大学、大学院と進学後は、たくさんのステージに立つ機会があった。「場数を踏ませてもらったことが、今回の結果につながった」と話す。
この春、同大学院オペラ専攻を首席で卒業することが決まっている。その後は、秋に行われるイタリアの音楽学院の入学試験に向けて準備に入る。
加藤さんにとってオペラとは、「日常にあるもの」という。自分一人の力ではここまで出来なかったといい、地元の友人、高校時代の恩師、応援してくれたみんなに感謝の気持ちを持つ。「いつか地元の秦野で演奏会を開き、恩返しができれば」とほほ笑んだ。
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