竣功を迎えた秦野市秦野駅南部(今泉荒井)土地区画整理組合の理事長を務める 三杉 克篤(かつひろ)さん 今泉在住 74歳
自然息づく地元愛を胸に
○…準備期間を含めれば7年余り。まちづくりに奮闘した期間中は様々な出来事があった。苦難を振り返り、声を詰まらせる場面もあったが、それら一つひとつを乗り越えてこられたのも「素晴らしいスタッフに恵まれた」から。「子や孫に住みやすい場所を残したい、と始めた事業。今は立派な公園ができ、住民が喜んでくれる。そのことが嬉しい」と顔をほころばせる。
○…近くに荒井湧水がある今泉地区は、かつて田畑が広がり、裸足で用水に入ってドジョウを取って遊んでいた。しかし時代と共に休耕地が増え、やがて荒れ地となっていったという。区画整理に着手する際、強くあったのは「子どもが水の中で素足で遊べるようにしたい」という想い。荒井湧水を公園として整備することで、住民の憩いの場として、また防災拠点、地域行事の拠点としても使えるようになった。公園の水場にはカワセミやシラサギが訪れ、昔と同じようにホトケドジョウが生息する豊かな自然が再生。資産価値を高めるという個人の利益と地域の発展という公の利益。「これらが並び立って実現した事業」と無事に竣功を迎え、胸を張る。
○…南小出身。樹齢120年以上の桜は当時生き生きと枝を伸ばし、木登りをした記憶も。南中、秦野高、國學院大を経て教師の道へ。1964年、日本史の高校教員として着任以来38年に渡って教鞭を振るってきた。戦争で亡くなった父が母に宛てた遺書にあった「克篤を立派な教育者にしてほしい」という想いは今も胸に息づく。定年を迎え、これからの使命は戦争の『語り部』。戦争と家族の絆を語り続けて10年。「今でも話すのは辛い」と言うが、次世代に伝えるのが役目と市内外で講演を行う。
○…人との繋がりを大切にしており、教え子だけでなく、南地区自治会連合会長を務めていた時の仲間とは今も旅行に行くほど。思い出を語り微笑む目尻の皺に、人柄がにじみ出た。
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