(一社)秦野市観光協会の会長に就任した 市川 和雄さん 今泉台在住 72歳
叩き上げ企業人の強さ
○…小田急グループのバス、タクシー会社で役員を歴任。観光客と関わってきたキャリアを買われ、6月29日に会長に就任した。まず取り掛かったのは、秦野を舞台に制作されている映画『じんじん秦野編』の広報活動。「市外出身者だからこそ見える秦野の良さがある。周囲の協力を得ながら市外県外はもちろん海外にもPRできれば」という発言から、企業人としての視野の広さが伺えた。
○…出身は茨城県下館(しもだて)市(現・筑西市)。多くの人が集うにぎやかな商店街で、友達とチャンバラごっこをして遊ぶ活発な少年時代を過ごした。高校卒業後、小田急電鉄への就職を機に上京。38年前に秦野へ移住した際には「水道水の美味しさに驚いた」という。
○…好きな言葉は「慎独(しんどく)」。自分一人のときも身を慎み、人倫の道を守るという意味だ。小田急線の運転手時代、何千人もの乗客の命を預かる責任の大きさを感じながら、「たとえ人に見られていなくとも、雑念を抱かず、自分を律しなければ」といつも自身に言い聞かせていた。己に対する厳しさは今も、穏やかな物腰の中に時折見える眼光の鋭さとして現れている。
○…運転士などを育成するための養成所、経堂鉄道教習所で専任教師や所長を務めたほか、人事課教育担当を経験し、16年間企業人の教育に携わった。「新人研修で指導した子が、10年後の監督者試験でいっぱしの事を言い始めたりすると、本当にうれしい。人の成長を見る事ができたのは、人生の財産です」
○…会社を去って5年、「スーツはもういらないだろう」と処分した矢先、今回の就任依頼があり「困りました」と苦笑い。夫人は「暇をしているより適度に動いた方がいいじゃない」とさりげない言葉で背中を押してくれたという。職務には全力で取り組む決意だが、「妻と続けているターゲット・バードゴルフの練習にはこれからも行きたい」と、優しい笑みを浮かべた。
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