秦野版 掲載号:2017年6月30日号

秦野写真連盟 第15回写真展で「推薦」に歴代最高齢で選ばれた

山口 博さん

菩提在住 83歳

「まぁ、やんなよ」

 ○…「7月はね、北海道に熊を撮り行くんだ」。山間地の朝夕にしか出会えない独特の空気感を求めて、全国各地へ颯爽と出かける。雪山で悴む手を温めシャッターを切ることも多い。「ほんとに寒い所だと使い切りカイロは効かない。やっぱり昔ながらのベンジンとか炭のカイロじゃないと」と笑顔で語る。

 ○…代々菩提で暮らす農家の長男として家を守ってきた。二人の子どもを育てるため、夫婦で会社員をしながら農業を続けた。「帰宅後、夜中に耕運機を動かしたこともある。苦しかったけど、昔はそれが当たり前。その時の苦労があるから、今があんだよ」。1998年からは地元の仲間と”干し柿の最高峰”と言われる枯露柿の生産に挑み、台風や大雪で被害に遭いながら奮闘してきた。完成した「はだの丹沢枯露柿」が店頭に並ぶ今も乾燥方法の改良などに余念がない。

 ○…高校時代の応援団長に始まり、自身が立ち上げた山口自動車整備工場の会長、秦野ライオンズクラブ会長、自治会や生産森林組合、財産区議員でも役員を務めてきた。「まぁ、頼まれたら断れないだけなんだけどね」。人の好さが慕われる秘訣かもしれない。

 ○…胸ポケットから出した赤いハンカチーフでスマートフォンを貫通させる手品を披露し、「どうやってるか分かんないでしょ?」とにやり。27年前、ライオンズクラブの先輩と見学に行ってから「病み付きになった」というマジックで、公民館などで観客を楽しませている。「人を浮かせちゃうイリュージョンもやるよ」と眼を輝かせる。

 ○…「まぁ、やんなよ(どうぞ召し上がれ)」。来客を自宅の縁側へ笑顔で迎え入れ、地元の言葉でお茶とお菓子を勧める。農家同士の相談や写真仲間と作品を見せ合ったりするのも、この縁側。庭先で育てる鳩をマジック仲間が借りに来ることもある。訪問客の多さが長い人生で築いてきた人脈の広さを物語っていた。

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