秦野版 掲載号:2017年7月28日号

広畑小のターザンロープを作り、30年間修繕を続けた

奥津 昌男さん

南矢名在住 75歳

頼まれごとは宝もの

 ○…小学校の遊具設置やふれあい合宿への協力、田原ふるさと公園の花壇や池の鯉、静岡県小山町の寺院や休耕田の整備―60年間の大工仕事で培った知識や人脈を活かし、地域を陰で支えてきた。「人と雑談してると自分にできる事が見つかってよ、やんない訳にはいかなくなるわけよ。何でも好きだからやっちゃうし皆喜ぶからさ」。軽快な口調で、ボランティアを続ける理由をさらりと語る。

 ○…秦野市本町生まれ。小学生の頃から氷の配達、花売りなどで家計を助け学費に充てた。「どんぶり1杯20円でシジミ売りもしたしそういう貧しい生活だった」。本町中在学時に木造校舎で火事があり「燃えない家を作りたい」と大工の道へ進むと決めた。元は内気な性格だったが小田原の技術訓練所へ通い友達に囲まれる中で饒舌に。訓練所卒業後、15歳で小田原の親方の下で仕事に就いた。

 ○…1964年、下大槻へ移り23歳で独立。25歳から約30年間、消防団員として地元に貢献した。「秦高の前は砂利道で、大根川で泳いだりした」と当時を懐かしむ。奥津工務店では住宅を始め東海大や望星病院の茶室を手掛け、10年前には豪州で和風レストランを施工したことも。「頼まれた仕事は断らない」と現役を退いた今もお年寄りの住宅の補修等に出かける。

 ○…竹炭、水彩画、蓮の栽培…趣味は多く語りきれない。15年前、引退後に始めた陶芸では日本新工芸展への挑戦を続ける。独創的な作品の表面を指し「これ何だか分かる?コーヒーの残りカス。貼り付けるとそんな風にがさがさになんの」と気さくに笑う。

 ○…人と出会い、教わったことが困っている別の誰かの助けになる事を体で学んできた。「頼まれるって事は運命で、他の人を紹介するなり何かしらできるからその話が自分に来たんだと思う。要は自分との闘いなのよ」。自然な笑顔に引き寄せられて、また頼みごとが舞い込んできそうだ。

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