7月から進められていた秦野市立南が丘小学校敷地内にある「たて穴式住居」の修復作業が終了した。9月2日、同校PTA役員や児童、保護者ら約60人が最後の仕上げを行った。
たて穴式住居は1983年度の卒業生が「新しい学校で古いものと出会う」という意味を込め卒業記念に地元の民生委員などを務めた大庭佐吉さんや当時の校長、PTA役員らの協力で建設した。以降、児童の学習教材や体験活動に役立てられてきた。
施工業者探しに難航
4回目の修復となる今回、前回の修復から約13年が経過し、屋根に使われている茅の傷みは増していた。雨漏りもあり、教材としては活用できずPTA役員は修復を決めた。バザーなどで得た収益の積立金が修復費用として充てられたが、限られた予算の中、引き受けてくれる業者探しに難航した。「様々な方の協力もあり、受けてくれたのが”かやぶきさん”でした」とPTA会長の大下裕之さん。富士かやぶき建築茅吉(山梨県)の杉嵜靖司代表は、「学校の敷地にある貴重な教材。子どもたちの教育に繋がることに意義を感じた。私たちの仕事を知ってもらえればという思いもあり引き受けた」と話した。 修復にあたり茅は、再利用されたものも一部にあるが、ほとんどが静岡県富士宮市北部の朝霧高原の茅場から運ばれた新しいものになっている。今回の修復では1束4〜5kgのものが約千束使われた。厚みは約60cm、曲線や複雑な面が見事に表現されている。
最後の仕上げは皆の手で
この参加型仕上げ作業は杉嵜代表の発案によるものだ。実は7月にも”杉嵜臨時先生”による、茅についてや茅葺屋根の仕組みなどを伝える学習会が開かれている(=右下写真)。子ども達のためにせっかくの教材を活かしたいという杉嵜代表の想いに、渡辺稔校長が応え実現したものだ。
2日、PTA役員や子ども達など約60人が参加し最後の仕上げが行われた。子どもたちは自ら屋根に上り棟の上に交差して置く木の設置作業を体験した。小2の男子児童は「高くて怖かったけど、楽しかった。茅はちくちくした」と話した。渡辺校長は「PTA役員や杉嵜代表、地域の人に感謝したい。社会教育として活用していきたい」と話した。杉嵜代表は「体験を通して、愛着がわき、大切にしていこうという気持ちを持ってもらえるとうれしい。皆の記憶に残り、いつまでも継いでいってくれれば」と話していた。
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