創作を通じて子どもたちに自信を 終わりのない壁画ワークショップ
版画の新たな技法「木によるリトグラフ」の第一人者として知られる区内在住の版画家・澤岡泰子さん。ボランティア団体『終わりのない壁画ワークショップ』の代表として、みたけ台・県立中里学園で月1回、地域住民とともに絵画や造形などを通じたボランティア活動を続けている。
創作活動の傍ら、澤岡さんは母校・女子美術大の同窓会理事として、世界中の児童施設へ絵画を贈る活動を実施。「せっかくなら地元の児童施設での交流を」と100周年記念として99年、中里学園でしぼり染めのTシャツを作ったのが活動の始まりだった。
終わりのない壁画
当時、廊下や食堂の壁には落書きがされており、殺風景だった同学園。「子どもたちの生活環境を楽しく、心地よい空間へ」。澤岡さんらは壁に子どもたちの好きな絵を自由に描かせることにした。「好きなものは?」「楽しみは?」。大きな円は『お父さんと乗った山手線』、細長い直線は『夏の思い出の流しそうめん』など、子どもたちに筆を持たせると、いきいきとした絵が壁面に広がったという。
同学園が危惧したのは、描いた壁画に子どもがいたずらをしたり、壊したりすること。「その時はまた上から描きましょう」と澤岡さん。すると、当時の園長は「それでは終(・・・・・・・・・)わり(・・・・・・・・・)のない壁画ワ(・・・・・・・・・)ークショップ(・・・・・・)ですね」と話したことが同団体の名前の由来となっている。
心の中に残る壁画
『壁に描いた絵をほめられたよ』。一度もいたずらされることなく、大切にされていた壁画だが、07年、耐震工事によって撤去されることに。「創作活動を通じて、自信や存在価値を見つけて欲しい」。澤岡さんの奔走によって、壁画は映像(DVD)に大切に残された。
壁画こそ無くなってしまったが、今もなお、カレンダーやTシャツ作りなど多岐に渡る活動が継続。学園には子どもたちの笑い声が響いている。
|
|
|
|
|
|
|
<PR>