特別養護老人ホーム 入所待ち4090人 高齢化に整備追い付かず
2011年4月30日現在、横浜市の高齢者(65歳以上)は約73万人で、そのうち約12万人が要介護認定者となっている。高齢化は今後急速に進み、団塊の世代が高齢期を迎える14年には、86万人(高齢化率23・1%)に達する見込みだ。市内では、介護を必要とする高齢者の受け皿不足が深刻化している。
保育園に入れない子どもを「待機児童」と呼ぶが、特別養護老人ホームに入れない「待機老人」も社会問題となっている。特養は、常に介護が必要で、家庭での介護が困難な要介護度1〜5の人が対象の老人福祉施設。介護付き有料老人ホームと同様、常駐スタッフが、生活支援から介護サービスまでを提供。介護保険施設のため、費用負担が軽いのが人気の理由となっている。市内に134施設あるが、急速な高齢化に整備が追い付いていない。
11年4月1日現在の入所待ち数(在宅)は、横浜市全体で4090人。区別では、南区の393人が最大で、鶴見区の326人がこれに続く。反対に入所待ちが少ない区は、高齢化率の低い都筑区の86人などとなっている。入所するまでに平均14ヵ月を要しており、市は、中期4か年計画で、13年までに12ヵ月にする目標値を定めている。
課題は医療対応
市健康福祉局高齢施設課では、「施設は介護保険料を勘案しながら、概ね1年以内に入所できる水準として11年度は390床の整備を進めている」とし、入所待ちの人数については「将来を見越して申請している人もいるので、緊急性の高い人ばかりではない」と説明する。実際、要介護4〜5は2436人だ。問題なのは、大半の施設が医療的ケアに対応していないこと。このため、治療を要する人が長期にわたって待機老人となっているケースが多く見られる。市では「医療対応促進助成金」として今年度2億4000万円を計上するが、抜本的な問題解決には至っていない。
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