第35回全国高等学校総合文化祭で特別賞を受賞した 飯田 美紗子さん 市ヶ尾高校 3年生
生きた線を辿る
○…線の入り、力強い払い。左手が書く思い切りのよい線が評価され、文化部の甲子園とも呼ばれる全国高等学校総合文化祭、書道部門で特別賞を受賞した。「左利きでも認められ嬉しい」。見本としたのは2千年以上前の中国の木簡。「曲がりや跳ね、払い、細い木札いっぱいにのびのびと線を書いている」と、その時代に生きた人の日常に思いを馳せ、臨書した。「生きた線を書くことが楽しい」。書道の醍醐味をそう語る。
○…6歳上の姉の影響で高校から書道部へ。手本で見る止め、跳ね、払いを左で再現する難しさにぶつかった。「お手本通りに書けない」、右と左の感覚の違いにもどかしさを感じていたという。昨年夏の県書道コンクールでは、部の仲間が上位入賞したことに対し、自身は奨励賞。「冊子にも載らず悔しかった」、これが転機となった。休日も学校に来て練習し、百枚以上書く月もあった。「左にしか出せない線もある」。不利を強みにすることを学び、4ヵ月後、県の代表作品に選出された。
○…趣味は裁縫。アニメキャラクターのマスコット人形や、お弁当の巾着を見様見真似で作る。自身の携帯ストラップもお手製マスコット。売り物と見間違うほどの完成度だ。作品は友人にプレゼントすることも。「仕上がりがいいと友達にあげたくなる」と、喜ぶ顔が創作の原動力。湧き上がる創作意欲で3、4つの作品を同時進行することも。「ご飯以外は部屋にこもりっぱなし」と笑う。
○…好きな科目は古文と日本史。枕草子や万葉集を辞書片手に読み解く。別世界と思えた時代も「恋歌を見ると、今も昔も人は変わらないんだな」と思えてくる。2歳上の姉と最近はまった新撰組の軌跡を巡り、京都や日野を訪れた。屯所・八木邸を見た感想は「小さい」。教科書や小説の中の出来事が急に現実味を帯びた。大学は史学科へ進む予定。「過去があって今がある。歴史の面白さを伝えられる日本史の教師になりたい」
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