全国で公共図書館運営の民間委託をめぐって賛否の議論が活発になっている。全国では1割超が民間委託で、横浜市は市内18館中、あざみ野の山内図書館=写真=で試験的に導入する1館のみ。市は民間委託増減の予定はなく、「読書条例を踏まえ、今は公営維持が適切と考える」としている。
日本図書館協会によると、全国約3200館のうち2014年度までに運営を民間委託したのは430館で全体の1割超。コスト削減などを目的に5年間で1・5倍に増えている。横浜市では現在、市内18館のうち、あざみ野の山内図書館が2010年から民間の「有隣堂グループ」によって運営されている。市では、市図書館全体の個人貸出登録者総数が10年度に100万人を割り込み年々減少していることなどを踏まえ、民間のノウハウ活用を期待して試験的に山内図書館で指定管理者制度を導入。15年3月までの管理期間1期目の5年間を経て、今後の指定管理の拡大・縮小を検討するとしていた。
昨年4月に施行された「横浜市民の読書活動の推進に関する条例」を踏まえ、有隣堂の運営には一定の評価をしつつ「市民の読書活動推進のため行政と図書館の一層の連携が必要で、今は現状維持が適切と考える。今後の指定管理の拡充等については引き続き検討する」(市中央図書館企画運営課)としている。利用者が図書館運営に関わることで、蔵書数の多い中央図書館(西区)をおさえて市内1位の貸出冊数を誇る都筑図書館の好例もある。
いわゆる「ツタヤ図書館」など民間委託の弊害が指摘されるなか、東洋大学の南学客員教授は「全国には民間ノウハウを活用したにぎわい創出や来館者増など、確かな利点も多数報告されている。玉石混交の中からどの業者を選ぶか。判断を誤らなければ民間委託はサービス向上に寄与する」と語る。一方で指定管理者の変更による継続性の損失、司書の質の維持などを懸念する声もある。市では「『公営か民営か』ではなく、『市民にとって図書館がどうあるべきか』という根幹を一緒に考えたい」としている。
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