横浜市男女共同参画貢献表彰「推進賞」を受賞した 坂田 静江さん 鉄町在住 68歳
女性の視点で農家支え
○…「私はただの『農家のおばさん』。こんな賞を頂けて、とても勇気をもらった」。農業分野で女性の参画を推進してきたことが評価され、同分野初の受賞。6年前市内初となる農協女性理事に就任して以来、組織内で女性の視点や役割の発信を意識してきた。「たとえ通らなくても、声を上げていくことが大切」と凛としたまなざしを向ける。
○…小田原市のみかん農家に生まれ、4人きょうだいの長女として育った。「神奈川みかんの最盛期でね。東北から季節労働者が住み込みで来ていたの」。豊かな自然に囲まれ、高校まで市内の学校に通いながら家の仕事を手伝う生活で、農業は常に身近なもの。短大卒業後、24歳で鉄町の梨農園に嫁いだときも「違和感はなかった」。それから40年以上「農家の嫁」として、陰ながら家族を支えてきた。
○…「今と違って、自由に外出なんてできなかったのよ」。大人8人の大所帯、朝昼晩の家事をこなし繁忙期には身重の体で梨の袋かけに勤しんだ。小学生から続けてきた趣味の書道も「昼間からなんて」と、家族が寝静まった夜中に筆をとることも。実家に帰ることもままならず子育てに追われ「苦しい時期もあった」とぽつり。そんな日々を変えたのが女性農業者を市が支援する「よこはま・ゆめ・ファーマー」への認定だ。研修や講座に積極的に参加し知識を重ねる中で出会ったのは、同じ境遇で頑張る女性たちだった。「悩みを言い合って、仲間ができて。財産ね」と晴れやかに笑う。
○…小学校で稲作を教えて30年近く。地域で料理教室の講師を務めるなどいきいき活動する毎日だ。女性ならではの視点でもったいない、から始めた農産加工も「待っている人がいるから」と製造に余念がない。規格外の梨を使った焼肉のタレは毎回完売する人気ぶりだ。快く送り出してくれる夫にも感謝の言葉を口にする。過去の経験があるから、今がある。「今が一番いい」と穏やかに微笑んだ。
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