横浜市はこのほど、人工呼吸器など医療的ケアを必要とする子どもたち=医療的ケア児=の支援制度の整備を本格化させた。福祉サービスの調整などを行うコーディネーターの養成や、医療・福祉・教育などの関係機関が支援内容などを協議する組織体も今年度中に設置する計画だ。
医療的ケア児とは、新生児集中治療室などに長期入院した後に、人工呼吸器や胃ろうなどの医療ケアが日常的に必要な障害児(18歳未満)のこと。
近年、医学の進歩によりケア児の数は増加傾向にある。厚労省は2015年時点で約1万7000人と推計しており、10年前の2倍近くに増えている状況だ。
容体は歩ける子どもから寝たきりまで様々だ。なかには30分毎にたんの吸引が必要な子どももおり、在宅であれば24時間の介助が必要になる。また同ケア児の受け入れが可能な保育園は数少なく、通園をあきらめる保護者も多いという。
市内保育園で障害児や病児保育に8年間携わった保育士は「子どもの介助に手いっぱいで園選びまで手が回らず、職場復帰できない保護者も多い」と指摘。「子どもも保護者も孤立し社会に居場所がなくなってしまう。それが大きな問題」と現状について説明する。
保護者負担を軽減
国は16年に障害者総合支援法と児童福祉法を一部改正し、医療的ケア児支援を明記。こうした状況を受けて市は、4月から支援制度の整備に本格着手した。
まず今年度は、支援内容を調整するコーディネーターを2人養成することを掲げた。退院後、在宅となったケア児に予防接種が可能な近隣の病院を紹介するなど、きめ細かな調整を行うことで、保護者の負担軽減に努める。横浜市が推計している支援対象者1500人に対して2人の態勢となるが、市は配置等、今後詳細を詰めていく方針だ。また病院や通所施設、学校などの関係者10人ほどで協議会を設け、ケア児の現状把握にも努めるとしている。
18歳以上も対象に
このほかケア「児」のみの支援にとどまらず独自の取組みとして、医療ケアを必要とする18歳以上の障害者と、例えば重度の知的障害があるものの、日常的には医療ケアを必要としない障害児・者も対象とした。
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