優良団体として「府県等表彰」を受けた山内公園ラジオ体操会の代表を務める 西 貞義さん 美しが丘在住 93歳
「一生懸命」一歩ずつ
○…平成元年、5人で始めた山内公園ラジオ体操会。30年の節目を迎え、健康保持や地域のコミュニケーションの場としての功績で優良団体表彰を受けた。毎朝20〜30人が集まる同会の設立メンバーであり、最年長として代表を務める。御歳93歳。「長生きするには目的がないとね。毎日公園で用事がある、というのもいい」と飄々と笑う。
○…生まれは高知県幡多郡。まだ電気が普及しておらず、紙と鉛筆もなく石板を使って勉強していた時代。11人きょうだいの末っ子として大所帯で育ち、小学校卒業後1週間で奉公に出た。「時計屋に弟子入りしてね。映画の『おしん』と同じ世界」。16歳の時に学徒勤労動員で神戸に渡り、三菱の造船所で職工に。空襲も2回経験した。「まちが燃えた。男か女かわからない、人が人形みたいに転がっていた」。その後20歳で出征し、半年ほどで終戦を迎えた。
○…「苦労もしたけど、いいこともたくさんあった」。戦後は23歳で結婚し上京。文京区の茗荷谷で八百屋の跡地の掘っ立て小屋を買い、裸一貫で時計屋を始めた。ほどなく地下鉄が開通しまちがにぎわいを見せ、区内で一番の店に成長。50店を束ねる組合の支部長を務めるまでに。「ビルを建てて近所の人を招待して落成パーティーをしてね。いい思い出」と穏やかに話す。苦楽を共にした夫人は34年前に病気で他界。「とても、いい人だった」と表情を和らげる。
○…ラジオ体操を始めて60年ほど。朝4時過ぎに家を出て、1時間ほど散歩してから公園に向かうのが日課だ。「健康寿命を延ばすには運動が一番。皆に伝えていきたい」。高齢者に毎週体操を教えたり、月に1回ハイキングの引率をしたりとアクティブな日々を送る。「毎日一生懸命」。かくしゃくたる笑顔をみせた。
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