横浜市は、カジノを含むIR(統合型リゾート)の実現に向けた初の市民説明会を12月4日、中区の開港記念会館で開催した。林文子市長が市の厳しい財政見通しやIR誘致による経済効果などを説明した。質疑ではカジノに対する不安の声が多数寄せられ、林市長は「丁寧に説明し理解を得ていく」と繰り返した。
林市長は8月、カジノを含むIRの誘致を表明。最大の理由に年1200億円の財政貢献を挙げた。候補地は47ヘクタールの敷地を持つ山下ふ頭を想定。カジノにはギャンブル依存症や治安悪化などの懸念があり、市民に理解を得る必要があるとして、来年3月までに全18区で市長も出席する説明会を行う。一方で住民投票や林市長のリコール実
現を掲げるカジノ反対運動も市民や政治団体などを中心に活発化。山下ふ頭を利用する事業者らからなる横浜港運協会も反対の姿勢を示している。
経済効果を期待
当日は、林市長をはじめ小林一美副市長らが登壇。林市長は今年をピークに生産年齢人口が減少し経済活力の低下や個人市民税が減少する一方で社会保障費は増加すると説明。「戦略的に考えてお金を生み出していかないといけない」と語り、カジノを含むIRの有用性を語った。またギャンブル依存症などの対策として世界最高水準の規制を導入し、誰もが楽しめる世界水準のリゾート施設を実現するとした。
直接の質疑応答は行われず、入場時に配布された用紙に記入したものを司会者が無作為に選んで読み上げ、市長らが答えた。参加者からはカジノ抜きのIR実現性や依存症対策を問うもの、また候補地の山下ふ頭と住居が近いことから治安悪化を懸念する声や誘致の是非は市民が決めるべきという意見などが寄せられ
た。閉会間際には、参加者から市の一方的な説明ではなく「対話」を求める声が上がり、司会者が制止する場面もあった。説明会や質問の内容は後日、市のウェブサイトで紹介される予定だ。
閉会後、報道陣から参加者の理解度について問われた林市長は「ご理解を得たという判断ではなく、静かに聞いていただいたことには感謝したい」と話していた。
青葉区の開催未定
説明会は市内在住・在勤・在学者が対象。青葉区の開催日程は12月9日時点では未定。
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