横浜市がこのほど発表した、昨年1年間の「火災・救急概況」(速報)によれば、人口1万人あたりの火災件数を示す「出火率」が1948年の市消防局発足以降、最小値の1・8となった。また市内の火災件数も64年ぶりに700件を下回り685件だった。
市内の火災件数は11年に1千件を超えていたが、その後900件台で推移し、15年には700件台にまで減少。17年に800件台に逆戻りしたものの、18年からは再び減少へと向かっている。
これに伴って低くなってきたのが出火率。川崎市や相模原市など、県内の政令指定都市も火災件数は減少傾向にあるものの、14〜18年の5年間で出火率が1点台を記録したのは横浜市のみだ。
件数・出火率ともに改善が続く状況に、市消防局は「ハードとソフト両面の対策が効いているのでは」と推測する。住宅用火災警報器は昨年の調査では設置率86%に上る。また、08年10月以降に販売された全てのコンロには安全装置が付いており、交換普及も進んだと考えられる。これらの結果、「ヒューマンエラーが原因の出火を未然に防いでいるケースが少なくない」との分析だ。
もう一方は「地域を守ろうという住民意識の高まり」と見る。出火原因は長年「放火(疑い含む)」が1位となっているが、近年、各地域では防犯・安全パトロールや自治会単位の防犯カメラの設置などが進み、放火をさせない環境が醸成されてきているのではとも考えられている。
自治会長の1人は消防・行政・自治会等の地道な活動の表れと今回の数値を評価。その上で「この流れを維持していくことが大事。そのためには、火災警報器設置率をさらに伸ばすことや今の地域活動を次世代へきちんとつなぐこと、さらには設置から時間が経過した機器の交換を着実に進めていくことが必要だと思う」と話している。
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