4月に横浜美術大学の新学長に就任した 宮津 大輔さん 千葉県市川市在住 57歳
今ここが生きる場所
○…「美術大学であることが我々のアイデンティティー」。グローバル化に順応し、美術を活かして社会貢献できる人材の育成に意欲を示す。現代ではスマートフォンなどデジタル製品の操作性もデザインの領域。絵画や彫刻など伝統的な美術だけではなく新しい分野の教育も力を入れる。
○…大田区出身で、子ども時代から図工や美術が大好きだったと振り返る。美大進学を夢見たこともあったが、家族の意向もあり断念。明治学院大学で経営学を学び、卒業後は広告代理店に就職。通信事業者の広報、人事と、職を変えながら30年間に及ぶサラリーマン生活を送る。その傍ら現代アートコレクターとして名をはせ、念願だった美大教員に転身した。
○…「世の中を映している、同時代性を感じられる作品」に魅せられ、今では大小400点を所有し、コレクション展も多数。そんな同氏が初めて買った作品は草間彌生さんの「ドット」。30歳の時に夏と冬のボーナスを全額はたいて買い、「妻にめちゃくちゃ怒られました」と茶目っ気たっぷりに笑う。夫婦で暮らす自宅自体もアーティストの作品で、ふすまには奈良美智さんの作品も。「いい作品は10年、20年と飽きず、違うように見える」のがコレクションの醍醐味だ。
○…「遠回りが遠回りじゃないこともある」。美大に進学はしなかったが、企業人としての経験に加え、ビジネスの世界から社会と美術の関わりを見られたことは大きな糧に。「24時間365日、仕事の全てがアート。今が一番幸せ」と充実の日々を送る今だからこそ、学生には「今ここが生きる場所」だと伝えたい。全力を尽くすからこそ先がある。コロナ禍の只中、新学長として難しい船出となったが、思いは変わらず舵を取る。
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