県内を中心に40店舗展開する(株)有隣堂の社長に就任した 松信 健太郎さん 港北区在住 47歳
価値を創造する書店へ
○…創業明治42年、111年の歴史を持つ書店有隣堂。その7代目としてこの9月に21年ぶりの社長交代となった。「まずは赤字脱却」。コロナで店頭売上が昨年比45億円減の厳しい状況での就任だが気負いはない。あるのはさらなる飛躍への明確な覚悟だけ。「今後の成長発展プランを打ち立てる前の第1局面」といまを位置づける。
○…会社を第一に考える祖父の姿から「大変だろう」と後を継ぐ未来を想像できなかった幼少期。大学卒業後は弁護士を目指したが、挫折を機に34歳で「拾ってくれた」有隣堂へ。「社長である父に後継がおらず、入社は将来代表者になることを意味していたが飛び込んだ」。事業部長などを経て昨年副社長になったが入社当初の”お客様奉仕”という根本は変わらない。都内商業施設に書店だけでない新コンセプトの店舗を出店した際、人が溢れた開店日を「最高の瞬間」と話すなど顧客が喜ぶ姿を見るのが一番のやりがいだ。
○…「365日会社のことを考えていて趣味もほとんどない」とトップの厳しい内面を吐露。その一方「なるべく自由でわがままなくらいでいい」と2人の息子の話になると思わず笑顔に。子育てが仕事のヒントになることもあり、子どもが書店で遊べるよう、ある店舗ではキッズスペースを囲む形で母親が読書できる空間を開設。「お客様に選ばれるため常に新しいことに挑戦したい」
○…年々本離れが進む現況を踏まえ「既存店を本を売る場所から人が集う場所に作り替える」ことが当面の目標。就任時の社長あいさつで「時代の変化に対応するだけでなく一人一人があらゆる価値を創造していこう」と社員に伝え、自身も「リーダーにふさわしいよう自己成長を続けていく」と未来を見据えた。
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