第71回NHK杯全国高校放送コンテストの神奈川県大会が開催され、県立元石川高校放送部の山田実和さん(3年)が創作ラジオドラマ部門で1位に輝いた。山田さんは県代表として、7月22日から25日に東京都渋谷区で行われる全国大会に出場する。
同コンテストは、研究主題「私たち高校生と放送」に沿って、高校生が放送活動の内容や技術を競うもの。創作ラジオドラマに加えてアナウン ス、朗読、ラジオドキュメント、テレビドキュメント、創作テレビドラマの6部門と校内放送研究発表があり、それぞれ上位入賞者には全国大会の出場権が与えられる。
山田さんが出場した創作ラジオドラマ部門では、オリジナル脚本で8分以内のラジオドラマを制作。ラジオの特性を生かした内容や演出、演技や編集技術などを審査され、選出された上位2作品が全国大会に進める。全12作品がエントリーする中、山田さんが制作した『化けの皮』は最上位の教育長賞を受賞した。「自分が1位だなんて信じられなかった。すごく嬉しい」と笑顔を見せた山田さん。全国大会について「まずは準々決勝通過が目標」と話す。全国大会には98作品がエントリーし、23日に準々決勝の結果が発表される。
それぞれの感性で
『化けの皮』は、自己主張が苦手な少年の物語。「SNS被害」と「自我を持たないことへの警鐘」をテーマにしている。しっくりくるものがなかなか書けず、最終的な脚本を思いついたのは大会2週間前。一晩で書き上げ、レコーディングに臨んだという。音響選びを工夫し、よりシーンに合った効果的なBGMで、スムーズな場面転換を演出。さらに、年齢性別が様々な5役を山田さん1人でこなした。『化けの皮』は県大会上位作品として、8月2日(金)午前11時からNHK-FM「はま☆キラ!」で放送される予定だ。
中学校で演劇部に所属していた経験を生かせるのではと放送部に入り、1年の終わり頃から脚本を書くようになったという山田さん。今まで6作品以上の脚本を作り、「経験を積み、今回の作品は本人も手ごたえを感じているのでは」と、放送部コーチの海部弘さんも期待を寄せる。山田さんは過去に朗読や研究発表も経験してきたが、創作ラジオドラマは「自分で作って自分で演じられるのが楽しい」と話す。常に「テーマを作品内で言葉にしない」ことにこだわり、今回も「インターネット」や「SNS」という言葉を1度も使っていない。自分で考えず他人の意見に頼った主人公が操られてしまう展開に、主張が落とし込まれている。山田さんは「言葉にして言ってしまうと、聞き手の中で主題が固まってしまう。キャラクター性やストーリーを通して、それぞれの感性によって様々なことを考えてほしい」と思いを語った。
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