市立学校の児童生徒に1人1台配備している学習用端末について、市教育委員会はこれまでの校内管理を改め、4月から中学校で、7月から小学校で家庭への持ち帰りを可能にした。端末が日常的に使用できる環境になり、市教委は「児童生徒が主体的に行動、学習に取り組むことを進めたい」としている。
国が進める「GIGAスクール構想」に合わせ、市は2021年3月に市立小中学校と特別支援学校の児童生徒と教員用に27万台の端末を配備。小学生にiPad、中学生にはChrome bookを用意した。
端末はコロナ禍で家庭で受けるオンライン授業や健康観察などに活用され、必要性が広まった。その後、端末は校内で管理され、家へ持ち帰ることはできなかった。
文部科学省は児童生徒に情報活用能力を身に付けてもらい、「『教えてもらう』学習」から「『学びとる』学習」への転換を進めるため、端末の持ち帰りを推奨している。
市は22年度から約70校で家庭への持ち帰りを試行。頻度は学校の判断に委ねた。週2回持ち帰るようにしていたある小学校は、端末を使って行う計算問題を宿題に出すなどしていた。校長は「児童一人ひとりに最適な学びを提供するために端末は有効」という。
試行を終えて市教委は「児童生徒が端末を日常的に使えるようになった」と成果を挙げ、「宿題提出の効率化や教員の負担軽減など、働き方改革にも多くの利点があった」と強調する。
「鉛筆・ノートと同じ」
南区の別所小学校は7月から毎日、端末を持ち帰るようにした。同校教諭は「端末はノートや鉛筆と同じように毎日使うもの」と話し、もはや学習では必需品だという。
市教委によると、試行時から学習とは関係のないサイトの閲覧が課題になっており、夏休み中は小学生用の端末から「YouTube」の視聴制限を設けるなど、初年度で試行錯誤が続く。
市教委は「まずは家庭で端末を使用できる環境を整えた」と話し、今後は使用状況や課題を整理しながら、より良い活用方法を探り、児童生徒が主体的に学習することにつなげていく方針だ。
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