コラム「学校と社会をつなぎ直す」㊴ 中核的概念を軸にして授業を行う 桐蔭学園理事長 溝上慎一
文部科学省で、次期学習指導要領の改訂審議が進んでいる。筆者も末席ながら委員を務めている。現在、教える知識量はさほど増えていないものの、子どもを主語にした主体的・対話的で深い学びに時間を多く要して、カリキュラム・オーバーロードに至っていると考えられる問題が深刻に存在する。そこで提案されているのが、中核的概念を軸としたLess is Moreの授業法である。関連する知識や考えを子ども自身が関連付けて学習し、関連する発展的な内容、検索機能を用いた深い学び等を行うのである。子ども主体の学習、デジタル教材・教科書等のICT利用を通して、教師から与える知識は少なくても、より多くの学習を実現することが期待できる。
中核的概念による授業法は、教科書を網羅的に教えるのではなく、かつての教科書と比べて2〜3倍と分厚くなっている現在の教科書の内容を、所定の授業時間内に終えることを目指している。膨大な知識・情報、デジタル技術等が高度に絡み合う現代社会を生きるために、子どもが自身の興味や疑問、理解等に合わせて知識を構成しながら学習し、その過程で必要な資質・能力を身に付けることが期待される。それは、単に大人の事情による問題の解決にとどまらない、現代社会を生きていく子どもの知識世界や資質・能力を育てるためのものでもある。
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