タウンレポート 鴨居で300年続く風習 東地谷戸(とうじやと)の地神講(じちんこう)
鴨居で300年以上前から、農作物の収穫に感謝する祭り「地神講(じちんこう)」が行われている。秋分の日前後に毎年実施され、鴨居・東地谷戸では今年は9月22日に行われた。そこで同地区に伝わる風習を取材した。
地神講は、春分と秋分に最も近い戊(つちのえ)の日に土地を守る神様を祭るもの。土地を守る神様である堅牢地神(けんろうじしん)と、財福などをつかさどる弁財天の掛け軸をかけ、供え物をする。当日は、土地を掘り起こしてはいけないとされており、農家は休日となる。持ち回りで決められている家が宿となり、豪華な料理を食べ豊作を願ったとされている。
神奈川県のほか、関東地方でも行われていたとされており、鴨居では、谷戸ごとにそれぞれ実施されている。
22日に行われた東地谷戸では、11世帯が参加。自治会館完成前はそれぞれの家で実施されていたが、近年は自治会館で行われている。40から70代の幅広い世代が集まり、今年は織裳(おりも)好夫家が会を主催した。
20代から出席し、参加者の中で最高齢となる織裳(おりも)重雄さん(79)は「昔は、電話もなかったので、地神講が情報交換の場でもあった。その年の農作物の状況などを報告しあった」と昔を振り返る。
若い世代に伝えたい
東地谷戸では数十年前には14世帯が参加していたとされている。時間の経過とともに参加世帯も減っており、開催自体を止めてしまった谷戸もあるという。また、東地谷戸では、現在11世帯のうち、専業農家は3世帯で、参加者の中には、親が専業農家で自身は勤めに出ている人もいる。織裳重雄さんによると、地神講は300年以上前から行われている鴨居の風習。時代の変化とともに、農業離れが進む中、「若い世代に地神講などの伝統を伝えていくことも我々の仕事だと思っています」と話している。
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