鴨居地区 受け継がれる弁当宅配 高齢者宅見守り15年
鴨居地域で単身や身体の不自由な高齢者宅への弁当配達が行われている。鴨居地区社協の呼びかけにボランティアが協力し、高齢者を見守ろうという取り組み。開始から15年が経ち、ボランティアの世代交代が進む中、地域で受け継がれる支え合いの精神を追った。
「まさか自分が弁当を受け取る側になるとは思わなかったけれど、今はこうして知った顔が寄ってくれることが嬉しい」―。こう話すのは15年前、弁当宅配の取り組みを始めた山口陽子さん(77)だ。
山口さんは民生委員として23年地域のために活動し、鴨居地区民児協会長の時、緑区社協の協力を得ながらこの配食サービスを立ち上げた。
そんな山口さんが体調を崩し、車椅子の生活を余儀なくされたのは8年前。外出の機会も徐々に減り、気持ちが落ち込んでいたところにボランティア仲間から「配食サービスを受けてみてはどうか」と声がかかったという。「自分たちで立ち上げた配食サービス。利用してみて改めて『これは必要だ』と感じた」
現在、この取り組みには50人ほどの地域ボランティアが約30世帯に対し、交替で週1回の弁当配食を行っている。ボランティアたちはそれぞれの配達先での様子を日誌に記録し、高齢者の顔色や話の内容にまで気を配っているという。
山口さんは話す。「これからどんどん高齢化が進めば、施設や公共のサービスが充分にいきわたらないこともあるかもしれない。地域は地域で支えるという考え方が重要になってきている」。配達中に、実際に倒れている高齢者を発見し、家族に連絡するなどの事例も過去に数例あった。「日頃から顔を合わせて様子をうかがっていたからこそ少しの異変に気付ける」と話すメンバーもいる。
山口さんら創始メンバーの後を引き継ぎ、配食ボランティアを行う庄司登志子さん(鴨居地区民児協会長)は「弁当を届けていて、ふとした会話の中から私たちが先輩に教えていただくこともたくさんある。地域活動を行う上で、先輩方のアドバイスはとても貴重」とも話す。弁当の配達は「高齢者見守り」の枠を越え、地域の世代間交流の促進にも一役買っている。現在、ボランティアの中には40〜50歳代の若手も見られるようになった。庄司さんらは「この取り組みを次世代にしっかり繋いでいきたい。鴨居地域ならではの支え合いの精神を伝えていければ」と話している。
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