横浜市は開発地などに点在する雨水調整池の役割を周知し、子どもたちへの環境教育に役立てようと9月11日、市立森の台小学校の5年生を対象に、雨水調整池を開放しての生き物観察会を行った。
雨水調整池は、洪水発生の防止などを目的に雨水を一時的に貯留し流出を抑制する池のこと。主に住宅地などに点在し、横浜北部に多く存在している。市は1992年度から雨水調整池内に生物の生息空間である「ビオトープ」を創出してきた。
現在、緑区内には23カ所の雨水調整池が存在し、うちビオトープを有するものは7カ所ある。
「ビオトープ」は本来、自然の空間をそのまま維持するため人の手をいれずにきたが近年、植樹していない樹木が繁茂し、またウシガエルなどの鳴き声に関する苦情が近隣住民から寄せられているという。
これを受け、市は雨水調整池に関わる区局の職員による「ビオトープの維持管理プロジェクト」を発足。2013年度から、所管する道路局河川管理課をはじめ、維持管理を担当する土木事務所、生物多様性等に専門的な知識を活かす横浜市環境科学研究所など、区局を跨いだ職員らが今後のあり方について意見交換を重ねてきた。
環境教育の場として活用
2014年には緑区森の台にある「1号雨水調整池」で生物多様性に配慮した草刈を実施。これにより野鳥が飛来し、エサとなるウシガエルが減るなどして鳴き声の苦情も解消されたという。環境創造局政策課の遠藤寛子課長は「生物多様性を考慮するため、手を入れすぎてもいけない。このバランスをうまく保ちながら管理していけば、雨水調整池は市街地の身近な自然環境としての役割を担えると感じている」と話す。今後は雨水調整池を環境教育の場として役立てていきたい考えだ。
今回の生き物観察会はこの第1段階として実施。森の台小学校5年1組の総合的な学習の一環として雨水調整池での課外事業が実現した。
授業にはプロジェクトに携わる職員ら13人が参加。児童らは雨水調整池の役割やそこで暮らす昆虫や野鳥などの生き物について説明を受けた後、普段は足を踏み入れる事のない雨水調整池での観察会に臨んだ。
メダカやカエル、ザリガニに触れ、感嘆の声をあげる児童もいた。中でも「ヤマアカガエル」の発見は、同行した環境科学研究所の職員も驚いた様子で「ここに生息していることは今日初めて分かった。近隣の四季の森公園などでは生息が確認されているので、もしかしたら昨日までの大雨で流されてきたのかもしれない」と話していた。
児童らは「多くの生き物がいて驚いた」と話し、ゴミについても「どうしてこんなに多いのか」などと質問していた。
担任として同行した森の台小の坂口佳織教諭は「雨水調整池の存在自体初めて知った児童も多く様々な発見があった。この体験が環境に目を向けるきっかけになってくれれば」と話していた。
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