緑図書館で行われる絵本講座で講師を務める 中村 柾子さん 東京都在住 71歳
「読み聞かせ」で心一つに
○…「今はスマホなど、子育ても機械に頼ることが多い時代。直接語りかけてもらう温かさなど、知ってもらえたら」。緑図書館で9月30日に行われる絵本講座への意気込みを語る。絵本の読み聞かせは、声のトーンやユーモアの間合いなど、さまざまな感情を伝えることができるという。「絵本の世界では、自分の体験できないことが体験できる。子どもたちが想像の世界で遊べるの」
○…保育士として都内の幼稚園や保育園で36年間勤務。園長も務めた。「子どもが好きだったし本も好きだったから。保育士になるか図書館で働くかの選択だった」。在職中に参加していた絵本の勉強会で出会った編集者から、「子どもたちがどのように絵本を読んでいるのか教えてほしい」と頼まれ、雑誌でレポートを書き始めた。そのレポートを纏めた形で本を出版。「現場にいたからこそ、大人と子どもの絵本の読み方の違いを感じた」と話し、絵本の読み聞かせの極意を「読み手の大人が欲を捨てて、楽しませてあげること」と穏やかな笑顔で明かす。
○…現役時代、イギリスやドイツなどのヨーロッパから、アメリカ、中国などさまざまな場所を訪れた。「実際に本の舞台となっている場所を見たくなるから」。退職後には、東洋英和女学院大学で非常勤講師を務めたことも。「環境的にすごくいいところ。地域のお母さんたちもすごく熱心だった」と印象を語る。
○…「今の若い人たちはすごく真面目。もっとくだけて、笑ったり泣いたり、子どもと一緒に楽しめばいいの」。長年子どもたちと過ごしてきたからこそ、気構えることなく常に自然体。「こうしなきゃダメ」といった義務感に駆られることもないという。「読み聞かせをしていると、子どもと一体化というか、入ってくるのがわかる。それがすごく面白い。大好き」と、快活に魅力を語る。決して飾ることなく、若い世代へその経験を伝えていく。
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