竹の皮を手際よく鞣(なめ)し、キュッキュと金の糸で結び目をつくる―。
老舗の2代目女将として店に立ち60数年。この店の名物「本練り羊羹」の包装は年末の風物詩とも言える”お決まりの仕事”だ。代々、女将たちの仕事として受け継がれてきた。
「この作業が始まるとね、ああ、今年ももうすぐ終わるんだなぁって思うの。何本も何本もあるから、そう簡単には終わらないんだけどね」。そう茶目っ気たっぷりに話す手元は決して止まらない。
この店で一番羊羹が出る12月と1月。ふた月の販売数は6千本を超えるという。今年もこれから年末にかけ作業はほぼ毎日続く。
自家製あんこにこだわり、小豆から実に6日間をかけ完成する羊羹のいわば総仕上げとも言える包装作業。「やっぱり最後も人の手で」と言うように手作業の温もりにこだわってきた。
我が子を慈しむように羊羹を見つめる眼差しはとても優しい。店先にちょこんと座って作業する姿は、常連客に「女将さんはここにいるだけでいい」と言わしめるほど。「息子がね、元気でいるうちはお店に出るようにと言ってくれるの。レジを打たなくなると計算が出来なくなるっていうから」と店に立ち続ける。
この日、取材のために着てきたという着物は、この店の新装開店の際着ていたものだ。「当時主人(先代)が似合うと褒めてくれたもの。久しぶりに着たわ。優しい人だった。今日は一緒にと思って」。亡き先代との思い出話に花を咲かせながら、老舗の”冬支度”は進んでいく。
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