横浜市は、「商店街インバウンド対策支援事業」を今年度初めて行う。来街者が減少する商店街の課題を受け、インバウンド対策を検討する商店街を対象に専門講師によるセミナーなどを実施。市は外国人観光客を商店街に取り込み活性化を図りたい考えだ。
商店街への来街者は年々減少傾向にある中、訪日外国人数は増加している。2015年の横浜市内の外国人延べ宿泊者数は約72万人。11年の約29万人から倍以上増えている。市は、増え続ける外国人観光客を「商店街の新たな客」として取り込みたい狙いがある。
接客法など指導
市が先月公表した「2015年度商店街実態調査」によると、商店街が外国人来街者を取り込む場合の課題として、外国語対応、免税店手続き、PR方法が上位にあがった。
市は、希望する商店街を対象に専門講師によるセミナーを開催。ボードを使った「指さし会話」などの外国人向けの接客や免税店制度のメリット、Wi-Fi導入によるインターネット環境の整備など、インバウンド対策の基本をレクチャーする。
地域で意識に差
同実態調査では、外国人来街者を「取り込みたいと思う」と答えた商店街は23・3%だった。市は「郊外部の興味が予想よりも高かった」との認識を示しているが、「取り込みたいと思う」と答えた商店街数を区別に見てみると中区が22で最多、神奈川区が7で観光地を周辺に抱える商店街を持つ区が上位に。横浜北部や南部では0〜2が多く地域によって差が出ている。
中区では、すでに独自に対策を講じている商店街がある。伊勢佐木町1・2丁目地区商店街振興組合は昨年、会員向けに免税店制度相談会を開催。幅広いジャンルの物販店が集まる商店街の特徴を生かした「免税店の街」として外国人観光客の呼び込みに力を入れる。ホームページには、英語、中国語、韓国語の商店街マップを掲載している。同商店街担当者は「観光客が増えるのに比例して売上もアップしている」と手応えを口にする。
一方、市北部の商店街からは「場所的に観光客が来るところではない。ただ、お客さんを増やす手段として外国人観光客を取り込みたい気持ちはある。市には、市全体に訪日客を呼び込む施策にも期待したい」との声が聞かれた。
市では「各商店街の魅力をアップさせ、活力を推進させることが来街者の確保につながると思う。セミナーを入り口に対策を講じていきたい」としている。
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