緑区社会福祉協議会の会長に就任した 井上 敏正さん いぶき野在住 67歳
幸せな社会を夢見て
○…「みんなが健康で笑って生きていけるような社会を目指したい」。地域福祉の推進を目的に活動する緑区社会福祉協議会の新会長は、思い描く姿を示した。長津田で創業60年を超える造園業の4代目として働く一方で、消防団やPTA会長などのボランティア活動を通して長年地域と関わってきた。10年程前には自治会長となり、地区社会福祉協議会の役員にも専任された。「地域のみんなで支え合っていきたい」
○…家業を継ぐ前に就職した企業先で「水道哲学」という研修を受けたのが、社会福祉との出会いだったという。「大勢の人たちの働きがあって初めて水道から水が出る。今でも心に残り続けています」。その後、30年ほど前に母親が認知症になったのを境に福祉について深く考え始めた。「父と相談しできるだけ家で看る事を決めました」。苦労は多かったが、ケアマネージャーや介護士など、様々な人に助けられ最期まで母と過ごすことができた。「もって4、5年と言われた中で、20年ほど一緒に暮らせて本当に良かった」
○…介護やボランティア活動など家族には多くの迷惑をかけてきたという思いがある。「特に妻には感謝しかないです」。結婚40年。好きな食べ物は「妻の作るおはぎ」だという。近くに住む子ども、孫たちと一緒に夕食を囲むのが幸せだと話す一方、家族関係が希薄になりつつある現代社会についてはやるせない思いを感じている。「病院で泣きながら退院する高齢者を見た。家族に受け入れられず、施設へ移されたと聞きました」
○…協議会の働きには敬意を払いつつ、課題である人員不足を解消するため、「行政には強く訴えていきたい」と今後の抱負を語る。「会長だからと言ってもできることは限られている。それでもすべての人が幸せに暮らせる社会を目指したい。夢見がちかもしれませんが、こういうことは言い続けていきたい」と胸の内を明かした。
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