区内で様々な挑戦を行う「平成生まれの若者」を連載で紹介する。第3回は、西八朔囃子保存会の稲田麻里さん(27)=左写真=の挑戦を追った。
お囃子が昔から盛んだった西八朔町。太鼓や笛の音を響かせながら、獅子舞が家々を巡るのが、正月の風物詩だった。だが、就職などで地域を離れる人も多く、保存会のメンバーは、3年前には、4人にまで減少。また、メンバーの高齢化も重なり、なかなか活動できない状態が長く続いていた。
そのようななかで、「長く続いてきた伝統を後世にしっかりとつなぎたい」と立ち上がったのが、稲田さんだった。小学校5年生の時から保存会のメンバーとして、活動してきた稲田さん。「お囃子を見てくれた地域の人が『楽しかったよ』と声をかけてくれることが嬉しかった。お囃子があったから、地域の人ともたくさん関われた」と振り返った。「『お囃子が盛んだった』と過去形にしたくない。伝統が途切れるのは嫌だ」ときっぱり話した。
イメージを刷新
2017年の1月から同保存会の代表である小嶋順一さん(70)や同級生らを巻き込み、新メンバーの募集活動をスタート。だが、メンバーは一向に集まらず苦戦が続いた。「堅苦しいイメージがあった。気軽に、誰でも、楽しく参加できるようなイメージに変えなくては」とチラシに可愛いイラストなどを加えるなど工夫を凝らした。夏祭りでも菓子を配り、明るい声で呼びかけた結果、多くのメンバーが加入。そのほとんどが地域の子どもと30代を中心とした若い親世代だ。イメージを大きく刷新したことで、若い世代が多く加わったのだ。
現在は、約20人のメンバーで毎週練習に励む。ほぼ全員が参加し、辞めた人もいない。「モットーは楽しく。簡単な曲から始め、褒めることで大きな自信にもなる」と練習にも工夫を散りばめる。
「目標は、1年後に正月獅子舞を復活させること。伝統を守る挑戦です」と強い決意が垣間見えた。
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