東本郷ばらの会自治会(川室英明会長)は今年度から、「地域の空き家等対策事業」をスタートさせる。空き家の所有者から依頼があった場合に自治会として樹木の枝落としなどを行うもの。
東本郷地区は、今から50年ほど前の大規模宅地開発で人口が増加。東本郷ばらの会自治会は48年前に発足している。同地区で近年問題になっているのが住民の高齢化。高齢化率は約45%と高く、緑区平均の23・6%(3月31日現在)を大きく上回っている。
また、713世帯(4月現在)の内約40件が空き家として確認されている。同自治会前会長の山口武彦さんによると、「枝木が敷地内に伸びてきている」「落ち葉が多くて困る」など、空き家に隣接する住民らからの相談が自治会に寄せられてきたという。昨年6月にも「空き家の所有者に交渉できないか」といった相談が寄せられたが、その時点では「プライベートの問題」「所有者を特定するのは困難」などの理由から対応することができなかった。しかし、10月の台風で空き家のトタン屋根が飛び、破片が道路上に散乱したほか、近隣宅のカーポートを破損させる、車両に傷がつくなどの被害を出した。これをきっかけに、数人の理事らで「空き家等対策委員会」を11月に発足。今年3月までに10回を超える会議を重ねてきた。
重ねた会議の結果、まとまったのは、空き家の所有者と連絡を取り、庭の手入れ等を促進するシステム。空き家の近隣住民からの相談があった場合に、周辺住民から所有者の連絡先を知らないかの聞き取りを行い、分からない場合は緑区役所へ問い合わせる。基本的には所有者へ自発的な手入れを促すもので、地元の造園企業やシルバー人材センターを紹介。その上で「自治会に」という要望があった場合に限り、樹木の枝落としなどの作業を行うものだ。
安全面を考慮し、作業は春と秋に実施。2人以上で現場に入るという。料金については1人1時間1000円。そのほかにごみ処理費300円〜などを依頼者から徴収する。現在既に1件の依頼があり、9月中旬以降に作業を行う予定だという。
また、同自治会にはこうした空き家のほかに1人暮らし世帯が約100件あり、今後の空き家対策として転出時に自治会に提出する転出届についても、所有者が誰であるかを明確になるように書式を変更した。
現在は梯子、剪定鋏、熊手、鎌などを購入。ヘルメットやチェーンソーなども買い揃える予定だ。
山口さんは「高齢化が進む中で地域の支えあいのシステムを構築することが重要」と話す。
また、川室会長は「空き家は全国的に問題になっているが、地域で課題解決する取組は珍しいのではないか」と話した。
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