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【記録】コロナ禍、地域の心の声 連載【1】 「不安、尽きない」 訪問介護の現場から

社会

掲載号:2020年6月25日号

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事務所入口に置かれた消毒液
事務所入口に置かれた消毒液

 「訪問介護は、特に”密”となりやすい現場。対策はもちろん講じている。だが、テレワークや在宅仕事などは、当然できず限界もある。病院などの医療崩壊のことはよく報道されるが、『介護体制をどう維持していくのか』という議論は少ないように思う。崩壊してからでは遅い。介護に対して、一人ひとりが関心を持ってほしい」

 そのように話すのは、霧が丘を中心に訪問介護事業などを行うNPO法人たすけあい・ゆりの木の理事長、白石明美(68)さんだ。

対策、あらゆる手尽くす

 同法人には、約30人のヘルパーがいる。感染予防ため、様々な対策を講じている。訪問先での手洗いやうがい、マスク着用はもちろんのこと、毎朝の検温、定期的な換気など考えられる”あらゆる手”を尽くしているという。また、ヘルパーは普段から人混みを避け、電車やバスに3月から乗っていない。事務所の入口には、消毒液も置かれていた。

「どうにもならない」

 だが、大きな不安が残るのが本音だ。「接している高齢者に感染させれば、重症化するリスクも高い。また、密接せざるを得ない状況になるのも現場の本音。長年、訪問介護をやってきたが、こんなにどうしようもできない状況は初めて。努力だけでなんとかなるものでもない」と白石さんは不安を吐露した。

「利用者見捨てられない」

 一方、「利用者の支援は必要なので、仕事を投げ出すわけにはいかない。コロナ禍でも、利用者を見捨てるわけにはいかない」と白石さん。

 高齢者は、自治会や地域のイベントなどが中止となり、家にこもりがちに。認知症の進行やうつ症状が出ること、運動不足による体力の低下などが懸念されている。「そんななかで、ヘルパーの定期訪問を楽しみにしている人が多い。役割の大きさを実感している」と白石さんは述べた。

「目を向けてほしい」

 慢性的な人手不足にあえぐ介護業界。低報酬、重労働であることなどが避けられる理由との声もある。

 だが、白石さんは「コロナ不安のなかでも、ひたすら、現場に出向く。単に介護をするだけでなく、安心や元気を届けているのがヘルパー。誇りと使命感を持って働く介護従事者のことを真剣に見つめてほしい」と切実に訴える。

 その思いはコロナ禍でさらに強まったという。

 コロナ禍で介護従事者側に変化を求める声も聞かれる。しかし、「福祉の現場は人と接し、人に寄り添い、手助けすることは簡単にはなくせない。テレワークなども通用せず、世の中がコロナで変わったとしても、変えられないものだ」と率直な胸の内を明かした。

【記者雑感】

 コロナ禍で変化をすることも大切だが、すぐには変われない業界もある。介護崩壊を防ぐために、地域一丸となった取り組みが必要と感じた。

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