三保町在住の苅谷君代さん(62)がこのほど、第五歌集となる「白杖と花びら」をながらみ書房より出版した。昨年11月には読売新聞のコーナー四季で10回に渡り連載。苅谷さんは「今後もありのままの自分を詠っていきたい」と話した。
白杖に慣れてゆく日々これからは何でもできるやうな気がして
三保町の旧家に生まれた苅谷さんは、先天性緑内障で1歳までに4度の手術をし、貴重な視力を得た。高校2年生の時に北原白秋の弟子であった鈴木幸輔氏に出会い長風短歌界に入会し短歌を始めた。高校生活でのクラブ活動や恋愛などを詠んだ歌集「雲は未来の形して」を自費出版し、全国学芸コンクールで奨励賞を受賞。その後は「鳥よ海をおいてゆけ」「花戦(そよぎ)」「初めての〈青〉」(日本歌人クラブ南関東ブロック優良歌集賞受賞)を出版している。
視力は0・01
苅谷さんは6年前に9度目の手術をし、現在の視力は右目の0・01のみとなった。障害者手帳を取得し、外出時などは白杖が手放せず、文字の読み書きには拡大読書器を使用しているという。
第五歌集となった「白杖と花びら」は、2010年から19年までに詠んだ作品を中心に約440首が収められている。
冒頭の歌には「日常生活などで諦めかけていたことも多かったが、白杖を使用し、もう一度歩いていける」と前向きな気持ちが表現されている。
出版について苅谷さんは「何かを表現したい。その手段が私にとっては言葉です。古典、歴史、自然、人の心などあらゆるものに関心があります。これからもありのままの自分自身を詠っていきたい。それが視覚に障害がある私の生きる力になればと思います」と語り、「私を支えてくださる全ての人に感謝したい」と述べた。
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