港北保護司会の会長に就任した 井田慶次(よしつぐ)さん 新吉田東在住 75歳
心の窓開き、更生へ後押し
○…犯罪・非行をした人を更生させるための手助けをする保護司。法務大臣から委嘱を受ける非常勤の国家公務員だ。港北区内には45人おり、今春から新会長として会員を牽引する重責を担う。「副会長を8年間務め、『長』が何をすべきか把握しているつもり。講演会の実施など、横浜の他区の会長と連携を取りながら仕事を進めたい。精一杯こなしていきます」。温和な表情の下に強い意志を滲ませる。
○…19年前、保護司に就任。罪を犯した人が「保護観察」になると、保護司と面接し、生活状況などを報告する。その際心がけるのは”同じ目線で語りかける”こと。「まず私が心を開く。すると相手も心の窓を開いてくれる」。以前、殺人未遂をした人を担当したときも、時間をかけ、関係を築き上げた。そのうち、ぽつぽつと生い立ち、事件を起こした理由を語ってくれたという。「最後には泣き出して。”人として迎えてくれてありがとう”とね」。社会復帰したケースも多く、結婚して子どもを連れてあいさつに来る人も。「やりがいがありますね」
○…少年補導員、県薬物乱用防止指導員相談役も務めるなど、社会活動に熱心だ。きっかけは1981年、当時18歳だった長男を水難事故で亡くしたことによる。その日は発見されず、翌日一握りの希望を胸に海岸を探していると、氏の足下に流れついてきたという。「読経して頂いた現地のご住職に、捜索してくれた大勢の方への恩返しの方法をたずねた。ご住職は『あなたの身近で困っている方の手助けを。それが答えです』と言われた。息子への供養にもなると考えています」
○…社会状況の変遷に合わせ、保護司の活動にも新しい取組みが求められている。「若いメンバーも増え、これまでと同じことをしていてはダメ。理事会で話し合われたことを公表し、言いたいことが言える雰囲気にしたい。10年先を見据えた運営に取組む」。今後の方針を明快に語った。
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