子宮頸がん予防ワクチン 市が接種推奨を中止 「自己判断」に戸惑いも
横浜市はこのほど、ワクチン問題を議論している厚生労働省の有識者検討会での決定を受け、子宮頸がん予防ワクチンの接種について、積極的な推奨を中止した。この4月に定期接種となった矢先のできごとに、途中接種者などからは戸惑いの声も上がっている。
子宮頸がん(※)ワクチンは、世界保健機関(WHO)が接種を推奨しており、多くの先進国で公的接種となっている。横浜市では、2011年2月からワクチン接種緊急促進補助事業として接種が可能になり、今年3月の法改正を受け、4月から定期接種となった。
定期接種化が推進された一方で、副作用の問題も指摘されていた。09年の同ワクチン発売以降、これまで国内で延べ328万人が接種し、約2千件の副作用が報告されている。県内では現在、定期接種化後の重い症状は確認されていないが、全国的には、持続的な痛みを訴える重篤な副反応も見られており、発生理由などについては調査中だ。こうした事態を踏まえ、検討会は同ワクチンを「国民に適切な情報提供ができるまで、定期接種を積極的に勧奨すべきでない」と位置付けた。
厚労省からの勧告を受けた市は6月15日、ホームページ内容を変更した。市内の対象者は、小学6年生から高校1年生までの約8万人。現在の中学2・3年生には、標準年齢とされる中学1年時に、同ワクチン接種に関する案内文を発送していたが、今年は延期となった。市には「2度目を受けるべきなのか」といった、不安の声など十数件が寄せられた。これに対し、市健康福祉局健康安全部は「慌てて接種しなくても大丈夫です。不安があればご相談ください」と説明する。
17日には、医療機関にも「推奨中止」が通達された。あるクリニックの医師は、「他のワクチンにも一定の副作用はある。リスクと効果を理解した上で、自己判断で接種するしかない。極端に言えば、1年に1回の検診を勧める方が良いのではないか」と指摘している。
※子宮頸がんは、子宮の入口にできるがんで、性交渉などで感染。国内では年間約9千人が発症し、約2千700人が死亡している。
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