9月10日からの1週間は「世界自殺予防週間」だったが、自殺の背景の1つにうつ病があることは周知の通り。区内鳥山町にある横浜市総合保健医療センターでは、2009年からうつ病患者向けの復職サポートプログラムを実施しており、これまでに約200人を受け入れ、職場復帰の一助を担っている。
復職支援を行っているのは、同センター・精神科デイケア。10年ほど前からうつ病やうつ状態で休職する人の増加が全国的に社会問題化してきたなか、精神科デイケアでは、都内の精神科医が立ち上げた復職支援(リワーク)に関する研究・啓発を行う「うつ病リワーク研究会」の活動を参考に、09年10月にプログラムをスタートさせた。
内容は、うつ病・うつ状態で苦しむ人が10人程度でグループを形成し、ディスカッション、自己分析を繰り返しながら回復への道を6カ月間を使って探っていくというもの(最短4カ月)。対象者は休職中で離職をしておらず、精神科などに通院し、主治医から参加への指示がでている人だ。
67%が職場に戻る
まず、センターに通所できるか最低6週間に渡り確認する「プレ・リワーク」から開始。次に自らの病気や服用する薬について学ぶ「心理教育 トピックス」、自分の物の考え方や見方を知る「集団認知療法 グループワーク」、対人関係の対処方法、なぜうつ病に罹ったのかを考える「対人技能訓練 自己分析」と続き、最終コーナーは「復職面談ロールプレイ」、事後のサポートとなる「ポスト・リワーク」で終了となる。プログラム実施中、参加者は週3日から5日、朝9時から午後4時まで通所し、早目の就寝・起床、飲酒を控えるなど、生活リズムの正常化・安定化も進めていく。
開始から6年が経ち、これまでに174人を受け入れ、完遂者は147人、その内116人が職場復帰を果たしている(15年4月時点)。年齢は22歳から57歳までで、会社で中間管理職の世代といえる30〜40代の男性が一番多いという。
プログラムに関わる、精神科医で同医療センターの塩崎一昌地域精神保健部長は「うつ病患者に必要不可欠なプログラムだと思う。時間がしっかり取れ、効果的な治療の道を確保できるものになっている」と高く評価している。
「自己分析」で改善の道へ悪循環の断ち切りが狙い
通所者が共通して苦しむのが、自身がなぜうつ病に罹ったのか考察する「自己分析」だ。心の病を引き起こす要因の1つとなる、「物事の見方・考え方」が幼少時からの様々な人間関係に起因しているのでは――と思いあたったとき、涙を流す人もいるという。また、これまで他者の前で口にしなかった「心の傷」を語る人も。このプログラムの最大のポイントはそうした際、同じ病を持つグループメンバーから共感や励ましの声がかかり、治癒に向かうケースが多く見られることだ。
同時に塩崎部長によると、長期間ディスカッションを繰り返す中で通院する担当医師が発見できなかった双極性障害(躁鬱病)などが新たに見つかり、適切な治療を開始できるメリットもあるという。
プログラムの立ち上げから関わる、同センターの田原智昭作業療法士は「復職、うつ再発、休職を繰り返す人が多いが、このプラグラムならその悪循環に陥らない『生きやすさ』を見つられるチャンスは生まれる」とし、「自主・自立していくことが特徴。卒業した人が定期的に集まり、皆で励まし合っていることも嬉しい。皆さん『同期生』って言うんですよ」と笑顔で話す。
プログラムへの問合せは同センター【電話】045・475・0136。
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