横浜市内の公立学校で進められている、校舎トイレの洋式化率は現在約65%になる。市は2015年度、117校(前年度比88校増)で洋式化を進めるなど、17年度までの3年間で、洋式化のスピードアップを図っていく方針だ。洋式化率の低く、地域防災拠点となっている学校を優先的に改修する予定となっている。
「使い方わからない」
総務省の統計によると、一般家庭の洋式トイレ保有率は89・6%(08年)に上る。約9割の家庭で洋式トイレを使用しているため、児童・生徒からは「和式トイレを使ったことがないので、使用方法がよくわからない」、掃除を行う用務員からも「フチを汚してしまっていることも多く見受けられる」などの声も上がっているという。こうした現状を踏まえ、市は03年度からトイレの洋式化に向けた取り組みを実施。将来的に全校で100%の洋式化を目指している。
現在、校舎トイレの洋式化率は市全体で約65%。毎年、概ね30校程度で改修が行われている。15年度は前年度の29校を大幅に上回る、117校で改修工事が行われる計画となっている。改修計画に関して市教育委員会担当者は「子どもたちにとっての利便性を最優先に考えている。洋式化率の低い学校から順番に、すべてのトイレの洋式化を進めていくことになる」と話している。
また、トイレ関連企業で組織する「学校のトイレ研究会」の参加企業でもある、TOTO(株)の広報担当者も「学校のトイレは使いやすさが最優先になると思う。和式トイレを使えず排便を我慢することで、健康被害になる児童もいると聞いています。和式を残していても、結局使われていないということもあるようです」と学校トイレの現状を語っている。
避難所体育館は50%
横浜市の公立学校のうち現在、約450校が災害時の避難場所となる地域防災拠点に指定されている。しかし、防災拠点になっている学校の体育館トイレは、洋式化率が約50%に留まっているのが現状だ。震災・風水害などの有事が発生した際には小さな子どもや高齢者、障害者など多くの人が使用するため、早期の対応を望む声もあがっている。「市では校舎トイレの洋式化率が同じ場合は、まず、防災拠点になっている学校を優先する方針としている」と市教育委員会担当者は説明する。
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