大倉山記念館の館長に就任した 早野 正峰（まさたか）さん 菊名在住 48歳
より開かれた場所に
○…地域住民の集いの場としてだけでなく、そのレトロな佇まいからドラマや映画のロケ地としても人気のある大倉山記念館の指定管理者に、全国でフラワーショップ経営やウェディング事業などを展開する「日比谷花壇」が選ばれた。同社に入社して約25年、初めて施設運営の責任者の役割を担う。「現在の利用者を大切にしながら、より幅広い世代に関わりをもってもらえるようにしていきたい」。控えめでありながら、その口調に力がこもる。
○…ウェディング事業などで同社が大切にしている「人をもてなす心」は、施設運営にも通じるものがあるという。観光客や初めて訪れる人にも開かれた場所であるように、記念館の80年以上の歴史をわかりやすく案内するコンシェルジュを配置できないか今から構想中だ。建築に取り入れられているギリシャ神殿様式についても、「歴史的価値の高さを知らない人がいるのは非常にもったいない」と語気を強める。
○…大阪芸術大学出身。自身が表現者になるより、アートと社会をつなげるプロデュース事業に興味を抱いていたという。入社した日比谷花壇で学んだのは、花や植物を手段として、人と人をつなぐこと。今年３月まで勤めた大阪の植物園では、植物をより身近に感じられるような親子向けのイベントをいくつも企画。バナナの房採り体験や、カカオ豆からチョコレートを作るワークショップ……。「こうした経験を記念館の運営でも生かしたい」と意欲を見せる。
○…着任にあたり、自宅のある大阪から単身、菊名で暮らし始めた。「出張で品川や東京には来ていたけど、横浜は初めて。巡りたい観光地やお店がたくさんある」と笑顔で話す。古き良き伝統を大切にしながら、新しい文化を取り入れていく。先月、新たな試みとして記念館の情報を伝えるフェイスブックをスタートさせた。取り組みはまだ、始まったばかりだ。
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