横浜市消防局は7月22日、2016年上半期(1月1日〜6月30日)の火災・救急の概況を発表した。救急出場件数は前年同期より2910件増加の9万227件(搬送人員7万8549人)で、過去最多を更新した。
2011年以降、横浜市の救急出場件数は増加の一途を辿っている。昨年1年間の出場件数は17万8344件で、平均すると1日あたり489件。5年連続で過去最多を更新した。
増加の一因に指摘されるのが人口の高齢化だ。05年は全搬送人員の44・4%だった65歳以上の高齢者は、今回の発表で半数以上の55・1%に。特に75歳以上の搬送は3万961人で全体のおよそ4割で、これは、75歳以上の6・6人に1人が救急車を利用した計算だ。消防局救急課の担当者は「高齢化は今後ますます進展するため、利用者は増加し続けるだろう」と話す。市の推計では、20年には年間20万件を突破する予測もある。
増隊で対応
件数の増加で危惧されるのが、救急車の現場到着までにかかる時間だ。15年の所要時間は平均6・9分。年々秒単位で延びる傾向にあり、ここ10年間で約1分近く延びたという。
消防局はこうした状況に対応するため、隊の増強を図っている。現在、救急隊は市内に67隊あるが、今年度中に都筑区・緑区・栄区に各1隊増やす予定だ。「できる限りの増隊はするが、それで対応し続けるのは難しい」と話す。
迷わず呼べる環境を
消防局は搬送人員の半数が軽症という実態を踏まえ、啓発活動にも力をいれる。14年12月からは救急車を呼ぶべきか迷った時にパソコンやスマートフォンで緊急性を判断できる「横浜市救急受診ガイド」の運用を開始。さらに各区役所などで冊子版も配布した。
また、今年1月に設置した市医療局の「救急電話相談」が6月から24時間相談可能に。「♯7119」に電話すると、看護師のオペレーターが対応。相談者の症状に基づき、緊急性や受診の必要性などを判断し、医療機関の案内や119番への転送をしてくれる。担当者は「夏は熱中症の方が増える時期。判断に困った時は、ためらわずに救急車を呼んでほしい」としている。
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