港北区版 掲載号:2018年2月8日号 エリアトップへ

映画「秘境ヒマラヤ」に記録された探検隊に参加していた 飯島 茂さん 岸根町在住 85歳

掲載号:2018年2月8日号

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多様性を認める心を

 ○…1958年、戦後間もない頃。貧しく小さな探検隊は、秘境ヒマラヤへ足を踏み入れた。標高4150mの村でチベット系牧民を訪ね、学術班としてヒマラヤ北方高原の自然や住民について調査。野菜や肉のない生活を原住民とともにし、貧しさから生まれる彼らの知恵を目の当たりにしてきた。その様子を「秘境ヒマラヤ」上映会で垣間見ることができる。

 ○…「横浜駅から元町まで見渡せたよ。焼け野原だったから」。戦時中、生まれ育った横浜の中心地で見た光景には何もなかった。貧困に耐え忍ぶ生活から抜け出したい。旅してみたい。そんな思いが心のどこかにあり、京大で学んでいた社会人類学の知識を深めるため西北ネパール学術探検隊に参加した。貧しい牧民の文化は、驚かされるものばかり。なかでも印象的だったのは”鳥葬”。食事をしながら鳥が遺体を啄む様子を眺めていた。「その時は平気だったのに、帰国してから映像を見たら気持ち悪くなった」と笑う。

 ○…京大で教鞭をとった後、ロンドンや東南アジアで研究を続けた。東工大で教壇に立っていたこともあり現在は同大学の名誉教授という肩書きを持つ。引退した今はパソコンや英会話教室に通う。「忘れないように英語を習い続けているけど、イギリス人の先生に、古い使い方はやめましょうなんて言われちゃう」と肩をすくめる。子どもの頃から魚釣りが好きで、北海道や福井まで出向くことも。

 ○…「人には多様性がある。その一つひとつを理解しなければ、共存することはできない」。ヒマラヤ北方高原を始め、文化が全く異なる外国での生活や研究を通して学んだことだ。上映会の参加者には、映画を通して感じ取って欲しいという。「日本人は”みんな一緒でなければ”という意識が強い。でも人の生き方に寛大になることも重要」。この言葉の説得力は、過酷な生活を耐え抜いたからこそ生まれるものなのだろう。

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