第二次世界大戦後、東京・銀座にあった、米国進駐軍(GHQ)の購買部PXで将校らの背広や制服の仕立てを行っていた「東京PXメンズテーラー部」。同部門を区内在住、吉山さんの亡父、吉山惠さんが運営し、マッカーサー元帥などの制服や背広をあつらえていたことを裏付ける貴重な資料が、このたび発見された。戦前は米国在住の日系二世だった故人の足跡を聞いた。
今回の資料は、吉山さんが終活も兼ねて家を整理しているときに発見されたもの。吉山さんが中学生の時に亡くなった父からは直接話を聞くことはできなかったが、母らから「実は以前PXの店舗を営んでいて、マッカーサー将軍などの服をあつらえていた」という話は聞いていたという。
亡父の吉山惠さんは、1918年、米国カリフォルニア州カリナス生まれの日系二世。戦時中は家族と収容所生活を送り、戦後は日本に送還されたが英語ができたことから、福岡県で英語学校を経営していた。また、高校時に過ごした日本での人脈などから、当時の総合商社大手、日綿実業(株)の販売代理などを行う室町実業株式会社を1948年に創業した。49年11月には、進駐軍の通訳をしていたことから声がかかり、PXとして接収された銀座松屋本店に、仕立て職人らを集めて「男子洋服部(Men,s Tailor Concession)」を開店。発見された資料の一つに当時の会社概要があり、東京PXの男子洋服部を経営し「マックアーサー、アイケルバーガー、マーカット各将軍以下連合軍将兵の間にTom,s Yoshiyamaの店として好評を博した根津テイラーショップを母体としている」旨が記載されている。また開店2周年の際の記念写真や、店が英字新聞に取り上げられた時のスクラップなども見つかった。吉山さんの話では、今まで聞いていた内容が裏付けられるものだという。
「戦中・戦後の貴重な資料かも」と一部、広島県の平和記念資料館に寄付したという吉山さん。「戦後をたくましく生きた人の存在を知ってもらえたら」と結んだ。
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