横浜市動物愛護センター=神奈川区=で2019年度に殺処分された犬は28頭で、開設した11年以降で最少を更新した。終生飼育の浸透などで収容数は15年度から半減し、ボランティアやセンターが譲渡に取り組む「命のリレー」も殺処分減少につながっている。
センターのまとめによると、15年度に324頭だった引き取り頭数が19年度は150頭に減り、初めて200頭を下回った。内訳は飼い主不明犬が94頭、転居や苦情、自身の病気・死亡などで飼えなくなった犬が50頭、傷病犬が6頭だった。
150頭のうち72頭は飼い主に返還され、54頭がセンターやボランティア、市獣医師会による譲渡で新たな飼い主に引き渡された。殺処分数は11年のセンター開設以来最少で、職員によると「収容犬が減少することで必然的に殺処分の数も減ってきている」という。
9割がボランティア譲渡
殺処分の減少を支えているのが、犬をセンターから引き取って譲渡活動に取り組むボランティアの存在だ。
センターには28の団体が登録しており、19年度にボランティアの手で譲渡された犬は全体の9割近い48頭に上った。収容動物の管理も行うセンターでは譲渡活動に限界があるため、「ボランティアの力はとても大きい」と職員は話す。
センターでも殺処分ゼロに向け、これまで引き渡しに消極的だった高齢犬や持病のある犬の譲渡に力を入れ始めた。今年からは、ホームページの譲渡対象動物にこれらの犬を加えて掲載。15歳の雌のミニチュアダックスフンドは「高齢ですが、元気で甘えん坊です」と特徴を添えて紹介し、ツイッターを活用した情報発信も行っている。
及川知子センター長は「飼い主の都合で持ち込まれる犬は10年ほど減っておらず、我々の最後の課題だと思っている。ボランティアや獣医師会の先生方と連携しながら1人でも多くの方に譲渡するだけでなく、飼い主への終生飼育の啓発も続けていきたい」と話す。
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