東京パラリンピック会場で撮影した写真を横浜ラポールで展示している 宮地 秀行さん 港北区在勤 54歳
工夫で運動の楽しさを
○…ボールの先を見つめる視線、歯を食いしばって競う姿。障害者も健常者も隔てないアスリートの顔を伝えたい。そんな思いで東京パラリンピック会場で選手の瞬間瞬間をカメラに収めた。メディアで光の当たらない多様な種目、選手も含め全日程を撮影。「選手のパッションが伝わる表情が撮りたかった」。本職は横浜ラポールのスポーツ指導員だ。
○…開館当時から約30年、同施設に勤務。一方、20代でスポーツカメラマンに師事した経験を持つことから、同施設への就職を機に障害者スポーツに焦点を当て撮影するように。障害のある選手を撮るカメラマンはほとんどいなかったという当時。「もっと知ってほしい。誰も撮らないからこそ勉強させてもらった写真で伝えたい」と、業務と並行し、シドニー大会から地域イベントまで障害のある人の運動する姿を記録し続けた。
○…一方、指導員としての生きがいは、スポーツが苦手、嫌いな人にその楽しさを伝えること。「障害があっても体の動かし方等の工夫でスポーツが楽しめるようになると、少しずつ意欲が沸き、仲間ができ生きがいに繋がる」。中途障害で体が前のように動かず落ち込み「スポーツなんて絶対無理」と涙する人も「仕掛け作りをして声掛けを続けると、いつしか本人が指導役として仲間と楽しんでいて」と嬉しそうに語る。
○…野菜作りが趣味で田舎暮らしも夢見る現在。パラリンピックの注目度が上がり喜ばしい反面、「手を借りて生活している人もいっぱいいる。選手の諦めないイメージが先行し、かけ離れた世界だと当事者に思われたくない」とも。「だからこそ、ラポールの存在は重要。楽しめるスポーツを広めていけたら」と力を込めた。
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