中川在住の小松崎勇さん(72)は、このほど「俳風 鶴見川歴史紀行」を自費出版した。自らの足で鶴見川流域を辿り、俳句風の一編に写真と解説を加えた88作品を収める同書。長年親しんだ地元を再発見する喜びや、風流を楽しむ遊び心に満ちた一冊となっている。
「古稀元気 極楽とんぼの 町歩き」とは、背表紙に書かれた小松崎さんの言葉。桐蔭学園中学校・高等学校(青葉区)で38年間国語教師として教鞭をとり、2008年に退職。今回の出版は、仕事を引退し70代を前に始めた鶴見川流域巡りの集大成となった。
執筆のきっかけは、横浜市歴史博物館により2009年から始まった「民俗に親しむ会」の一員として、鶴見川流域のフィールドワークに参加したこと。月に1回程度、2年間にわたり、13人のメンバーと共に歩きながら歴史や人々の暮らしの跡に触れた。鶴見川は、東京都町田市上小山田町の泉を源流とし、鶴見区の河口から東京湾へ流れる。早渕川や恩田川などの支流も含めた流域にある神社仏閣、名所旧跡、地形や植生などを同館学芸員と共に学びながら巡った。
この活動と並行して行われたのが同書の執筆。古くは縄文貝塚から、近年では水再生センターまで、流域の過去から現在まで扱う。自身が気に入っている作品は、「消されしは 神仏二面の 流浪神」と、各地にある第六天社をテーマにしたもの。かつては約300社もあり村々の常居の神であったが、多くが消滅の運命を辿ったと解説する。「誰も気付かないところにぽつんとある路傍の石仏。地元の歴史を知っているつもりでも、改めて学んでみると新鮮な驚きがたくさんありました」と小松崎さん。
鶴見川は、小松崎さんにとって現役時代から大好きな場所。休みの日には街の喧騒を離れ、川沿いの土手をサイクリングするのが趣味だった。「同書を通して、鶴見川流域を愛する人と地元の話題で交流できれば」と笑顔で語る。
同書は都筑図書館で閲覧ができるほか、1冊500円で購入も可。問合せは、小松崎さん【電話】045・912・1307まで。
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