都筑絵手紙の会を主宰する 古川 はるみさん 川崎市在住 64歳
人のぬくもりを絵手紙で
○…「線がゆがんだり、形がいびつになったり。手描きだとつたない部分もあるけど、それが人間のもつぬくもりじゃないかしら」。11月21日、都筑郵便局で年賀状教室を行う「都筑絵手紙の会」の主宰者。年賀状を印刷で作る人も多いが、手作りならではの味を伝える。「この世に1枚しかない作品は、特別な力を持つ気がして」と話す明るい表情が魅力的だ。
○…年中行事や旬の食材、草花など、季節を感じるモチーフに、メッセージやあいさつを添える。同会は、60代から70代の生徒を中心に月に2回活動し、和気あいあいと絵手紙づくりを楽しんでいる。ただ、教室で教えるのは描くことだけではない。送る相手のことを思いながら、どんな色を使うか、どんな言葉を選ぶかまで考えることを大切にする。「『絵が下手だから』なんて送るのを遠慮しちゃう方もいるけど、届けないと絵手紙じゃないし、受け取った人は必ず喜んでくれる。思いやりを送ることを学ぶ教室なんです」
○…大分県の港町で生まれ育つ。結婚してからは夫の仕事で転勤が多く、東京や広島、ときにはフィリピンのマニラまで、各地を転々とした。知らない土地に行くたびに、頼りになるのは近所の主婦仲間。2人の子どもの子育てに奮闘する中、学校や病院の情報交換は大切だった。「助けていただけなければやっていけなかったわ」と振り返る。15年前、子育てが一区切りついた頃に始めたのが絵手紙だ。「お世話になった方がどうされてるかしらって。絵手紙は年賀状以上、お電話未満のご挨拶なんです」。心のこもった作品で、そっと人とのつながりを温める。
○…同会のメンバーと、東京まで足をのばしてスケッチに出かけることもしばしば。「仲間がいることが、やっぱり素敵ですよね」と笑顔。こんな人情味が、活動の原点となっているのだろう。これからも、作品や教室を通して絵手紙の魅力を広げていく。
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