「横浜知財みらい企業」に認定されたCOBO(株)の代表取締役 植田 夏雄さん 荏田南在住 69歳
菌の恩恵、伝えたい
○…知的財産を活用した経営に取り組む市内の中小企業を支援する事業「横浜知財みらい企業」。現在、特許出願中の自然発酵システムを利用した発酵製品と、その製造方法が評され、9月1日付で新たに認定された。「横浜でずっと生活してきたし、今もお世話になっている。恩返しの気持ちで横浜から食文化を発信していき、市民の食生活を支えていきたい」と襟を正す。
○…20歳の頃、広告デザイナーに。大手企業の仕事に携わり、業界の第一線として活躍するなかで迎えたバブル崩壊。さらに阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件など、国内を揺るがす象徴的な出来事が価値観を変え、社会環境デザインへとシフトした。「仲間からは『そんなことやって儲かるの』とも言われた。環境のことを考えるという意味ではまだ馴染んでいなかった時代。まずは農業や漁業などの第一次産業のことを知ることから始めた」
○…”菌”との出会いは偶然の産物だった。後にベストセラーとなる著書『旬の酵母でつくるパンBOOK』で天然酵母の凄さを体感することとなる。「最初は本のデザインだけの予定が成り行きで自分が書くことになった。それで好きでもないパンを食べてみたら美味しくて驚いた。それが天然酵母のパンだった」。感動して一気に酵母の魅力に傾倒した。
○…今年4月、東京都目黒区から拠点を移し、センター南に自然発酵食品研究所を構えた。社名のCOBOは酵母の意。『ウエダ家』の名で、家族を中心に日々発酵商品の製造を手掛けるほか、登録生徒約4千人という料理教室も定期開催し、全国各地からファンが訪れるほどの人気だ。そんな多忙な研究を支える家族について「菌という共有のテーマで固く結ばれている。子どもたちは宝。研究の成果を代々つないでくれたら嬉しい」と表情を崩す。菌を通じて日本人の腸を改善し、健康を取り戻す。大きな命題への挑戦は続く。
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